資源・分布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 21:01 UTC 版)
資源としての炭化水素は殆どが埋没資源であり、石油または天然ガスとして地球上の特定の地域に偏在する。また近年、湖底や深海底のメタンハイドレートのように地底以外でも資源として存在するものも発見されている。これらの石油や天然ガスの主成分は鎖式飽和炭化水素である。それに対して、多環芳香族炭化水素は、総量は少ないものの、石炭の副産物であるコールタールに多く含まれる。世界大戦前はコールタールが多環芳香族炭化水素の資源として重宝されたが、今日では合成的に化学工業より生産される。そのため、コールタールに今日的な資源としての意味は無い。 また、メタンは地球温暖化の主原因の一つとされ、その大部分は火山活動やマグマより生成される無機由来のものである。無機由来であるため、メタンは生物の存在しない天王星やタイタン (衛星)のような他の惑星にも存在する。一方、地球上のメタンの一部はメタン菌によって生産される生物由来のものであり、地球上での炭素循環の一部でもある。 従来型燃料の枯渇に備え、環境負荷の少ない低炭素社会を実現するため、人工的にメタンを生産する方法も研究されている。メタン産生菌を利用した生物由来メタンの生産については、その生産量が少なく、実用化には至っていない。無機由来メタンの人工生産についても研究が進んでおり、金属水素化物(MH)と二酸化炭素(CO2)からメタン(CH4)を合成する方法も提案されている(4MH + CO2 → 2M2O + CH4 (M = Li,Na,K))。
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