諌鼓とは? わかりやすく解説

かん‐こ【×諫鼓】

読み方:かんこ

中国の伝説上の聖天子が、君主諫言をしようとする者に打ち鳴らさせるために、朝廷門前設けたという鼓。いさめのつづみ。


諫鼓鶏

(諌鼓 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/15 17:26 UTC 版)

諫鼓鶏の絵
神田祭山車

諫鼓鶏(かんこどり[1]表記ゆれ: 諌鼓鶏諫鼓鳥諌鼓鳥)とは、日本画伝統工芸の題材で、太平の世の象徴とされる、太鼓に乗ったを指す。古代中国諫鼓(かんこ)の伝説に由来する[1]

概要

伝説によれば、古代中国の名君である禹王(一説には堯王舜王・禹王の三人)は、朝廷の門外にを設置し、王に諫言したい民がいれば鳴らさせた[2][3][4]

この「諫鼓」の伝説は『管子』『漢書』『文選』『群書治要』など多くの漢籍に記されている[3]

日本では、平安時代には既に諫鼓の伝説が知られていた[3]。ここから派生して「諫鼓が鳴らないほど太平の世には、諫鼓に鶏が乗っている」という「諫鼓鶏」の概念が生まれた。古くは『和漢朗詠集』に以下の詩句がある[3][5][6]

刑鞭蒲朽螢空去 けいべんかまくちてほたるむなしくさんぬ 諫鼓苔深鳥不驚 かんここけふかうしてとりおどろかず
和漢朗詠集』巻下・帝王・663

江戸時代には、二代将軍徳川秀忠が、江戸日枝神社山王祭で、先頭の山車に使われていた御幣猿(ごへいざる)を諫鼓鶏に改めさせたとされる[1]。現代でも、山王祭・神田祭とちぎ秋まつり城端曳山祭村上大祭などに、諫鼓鶏の山車がある。

からくり師の竹田近江の代表作に、諫鼓鶏を模した「諫鼓太平楽」があった[7]

郷土玩具には、小さな太鼓・風ぐるま竹笛からなる「諫鼓」という玩具がある[2]

日本各地の民俗舞踊に「諫鼓踊」(諫鼓の舞)があるが、これは「羯鼓」が語源とされる[8]

ギャラリー

関連項目

脚注

  1. ^ a b c 諫鼓鶏”. 東京都神社庁 (2017年1月1日). 2024年1月21日閲覧。
  2. ^ a b 諫鼓』 - コトバンク
  3. ^ a b c d 泉紀子「「諌鼓」小考」『和漢比較文学』第8号、和漢比較文学会、47-60頁、1991年https://dl.ndl.go.jp/pid/4426309/1/25 
  4. ^ 賴鈺菁『幕末・明治初期における「諫言」の変遷と終焉 : 下級武士の忠誠観を中心に』名古屋大学 博士論文、2013年。 NAID 500000730393http://hdl.handle.net/2237/18341 1f頁。
  5. ^ 諫鼓苔深く鳥驚かぬ』 - コトバンク
  6. ^ ウィキソースには、和漢朗詠集の原文があります。
  7. ^ 山田和人「『竹田大からくり双六』について : からくり研究資料としての絵双六」『人文學』第154号、同志社大学人文学会、1993年https://doi.org/10.14988/pa.2017.0000003009 30f頁。
  8. ^ 中西智子「かんこ踊りの研究(I) : かんこ踊りの文化的背景」『三重大学教育学部研究紀要. 教育科学』第52号、三重大学教育学部、2001年http://hdl.handle.net/10076/4590 151f頁。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「諌鼓」の関連用語

諌鼓のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



諌鼓のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの諫鼓鶏 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS