語りえぬものとは? わかりやすく解説

語りえぬもの

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 16:58 UTC 版)

論理哲学論考」の記事における「語りえぬもの」の解説

論考』、最後の命題「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」は形而上学終焉告知することばとして広く知られており、現在でもしばしば引用される。しかし、大方の了解とは異なり、この言明神秘主義的不可知論的な命題語られているわけでも、あるいは逆に形而上学的な領域存在否定しているわけでもない。 『論考においては語られえないものは示されうる。命題的に語られうるものを最大限明晰に語りきることによって、語り得ず、ただ示されうる領域を示すことは可能であり、まさしく論考』はそのような行為遂行しようとしたのであった有意味な(即ち、真偽について判断為しうる命題として形而上学的、あるいは価値領域(『人生問題』)を語ることができない、という『論考』の主張は、そのような領域存在することを否定するものではない。そうではなく形而上学的領域を「語って」しまう形而上学は意味を為さない命題集合堕すほかない、ということ意味している。 決して、原理的に真偽について判断為しうる種類事柄ではない、ということは、それが、了解外部にあるということではないし、言語超えた、あるいは情緒的な、何か神秘的な了解コミュニケーションがあるのだ、ということでもないあくまでも示されうること」は、平明具体的な言語など実践通じてその意味内容としてではなく効果として了解されうることを指すのである。 この主題系は、ジョン・L・オースティン事実宣言的(コンスタティブ)と行為遂行的(パフォーマティブ)の区別とずれながらも一部重なるところもあり、何よりも後期ウィトゲンシュタイン自身によって『哲学探求』において追求された。そこでは言語現実の像としてではなくある種ゲームにおける実践として捉えられている。

※この「語りえぬもの」の解説は、「論理哲学論考」の解説の一部です。
「語りえぬもの」を含む「論理哲学論考」の記事については、「論理哲学論考」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「語りえぬもの」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「語りえぬもの」の関連用語

語りえぬもののお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



語りえぬもののページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの論理哲学論考 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS