語りの水準
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/19 09:42 UTC 版)
語り手と物語世界との位置関係を扱う領域。語り手は物語世界の外から語る場合も多いが、物語世界の内部にいるものもある。また物語世界の中に、別の物語世界が入っている場合がある。演劇でいう「劇中劇」に相当する。語りの水準は3つの種類がある。 物語世界外的 - 語り手は物語世界の中で登場人物として現れることがない。このレベルの語り手を「第一次の語り手」と呼ぶ。 物語世界(内)的 - 語り手が物語世界の中で登場人物としての役割も持っている。言い換えれば登場人物が語り手の役も果たしている。このレベルの語り手を「第二次の語り手」と呼ぶ。例えば『千夜一夜物語』のシェヘラザードや『マノン・レスコー』のデ・グリューが例に挙げられる。 メタ物語世界的 - 「第二次の語り手」によって語られる、劇中劇の世界である。 これらの水準の境界が侵犯されることがある。このことを「転説法」と呼ぶ。例えば物語世界外の第一次の語り手が物語世界での出来事を語っている最中に、「間もなくバルベックに出発する身の私には、もう社交界の描写をしている暇はない」のように物語世界外の内容が描かれる場合が例に挙げられる。
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