詩の名前
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:40 UTC 版)
「マルティン・ハイデッガー」の記事における「詩の名前」の解説
ハイデッガーの芸術論は視覚芸術を優先しているように見えるが、彼自身は「言語」作品こそ最重要と強調し続けていた。それらは「名前」をつけるからである。ハイデッガーによれば、存在するものたちは言葉無しに開いた場に現れることは出来ない。名は本質的に、存在するものとその特徴すべてに名前をつけ、ある意味で個物に存在を許可する。名前が存在するものを確立し「保存」する。 名前をつけるのは「関係をつけること」である。……一つにすること、許可することでもある。……しかし、名前は失われることもある。 ハイデッガーはこれを『詩』と呼ぶ。言語の通常の使い方ではなく、日常的なコミュニケーションとも異なる。存在に合わせて調律され、存在に呼応する「本質的」な言葉の流れである。ハイデッガーの思索のなかで「詩」は優遇的位置を占める。 ハイデッガーは『本質的言語』を、存在について語れる『詩』を求めていた。通常の意味での詩(文学的韻文)にも重要な役割があった。ハイデッガーは古典の作品を認めており、また、新ロマン派や表現主義モダニズムにも関心を抱いている。これらの詩作者には、内在的体験や現代における精神生活も含まれていた。とりわけ筆頭に挙げられたのがフリードリヒ・ヘルダーリンである。
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