視覚的な説明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 23:03 UTC 版)
二面体群 Dn は、2次元ユークリッド空間における、原点を動かさない 2n 個の合同変換からなるのであった。そのうちの n 個は回転、残りの n 個は鏡映である。ただし、全く動かさない変換も回転に含める。全ての変換は、ふたつの変換 R = ( cos 2 π n − sin 2 π n sin 2 π n cos 2 π n ) , S = ( 1 0 0 − 1 ) {\displaystyle R={\begin{pmatrix}\cos {2\pi \over n}&-\sin {2\pi \over n}\\\sin {2\pi \over n}&\cos {2\pi \over n}\end{pmatrix}},\qquad S={\begin{pmatrix}1&0\\0&-1\end{pmatrix}}} の組み合わせで得られる。実際、上記の記号を用いれば R k = R k , S k = R k S {\displaystyle R_{k}=R^{k},\quad S_{k}=R^{k}S} であり、2n 個の変換は id(恒等変換), R, R2, …, Rn-1, S, RS, R2S, …, Rn-1S で与えられる。ふたつの変換 R, S の間には S R S = R − 1 {\displaystyle SRS=R^{-1}} という関係がある。いわば、「鏡の中の回転は鏡の外の逆回転に相当する」ということである。 また、n ≥ 2 のとき、隣り合う軸に関するふたつの鏡映 S0, S1 の組み合わせで全ての変換を得ることもできる。実際、 R k = ( S 1 S 0 ) k , S k = ( S 1 S 0 ) k S 0 {\displaystyle R_{k}=(S_{1}S_{0})^{k},\quad S_{k}=(S_{1}S_{0})^{k}S_{0}} である。ふたつの変換 S0, S1 の間には ( S 1 S 0 ) n = i d {\displaystyle (S_{1}S_{0})^{n}=\mathrm {id} } という関係がある。 例えば n = 2 の場合、R は 180°の回転、S は x 軸に関する対称移動を意味する。D2 を構成する4つの変換は、id, R, S, RS である。 D2 はクラインの四元群と同型である。アーベル群であるので、変換の順番を逆にしても結果は変わらない。 Dn の位数が 4 より大きいときはアーベル群ではない。すなわち、n > 2 のとき、一般には変換の順序を逆にすると結果が変わる。 Dn は2次直交群 O(2) の部分群と見なすこともできるし(実際 O(2) の有限部分群は巡回群と二面体群に限る)、3次特殊直交群 SO(3) の部分群と見なすこともできる。鏡映も3次元空間における回転と見なすことができるからである。この考えでは、正多角形は3次元空間において裏表の区別のある図形である。「二面体群」とはこの文脈からの用語であり、四面体群、六面体群などと同様に正多面体群の一種である。
※この「視覚的な説明」の解説は、「二面体群」の解説の一部です。
「視覚的な説明」を含む「二面体群」の記事については、「二面体群」の概要を参照ください。
- 視覚的な説明のページへのリンク