視覚的欺瞞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/12 13:46 UTC 版)
視覚的欺瞞を担当したのは第603偽装工兵隊である。第603工兵隊自体はゴースト・アーミー設立に先立つ1942年から活動を開始しており、本土における数件の欺瞞作戦に関与している。第603工兵隊は膨張式の偽戦車、偽火砲、偽ジープ、偽トラック、偽航空機を用い、これらをあえて目に留まるように配置することで航空偵察の撹乱を試みた。彼らは必要に応じ、わずか数時間で偽の飛行場や野営地(偽の洗濯物などの小物も揃えられた)、自動車基地、砲兵陣地、戦車隊を作り上げることが可能だった。第603工兵隊の隊員は、その多くがフィラデルフィアやニューヨークの美術学校から引きぬかれた芸術家だった。結果的に部隊は若い芸術家たちの成長の場ともなり、隊員の中には当時既に著名だった芸術家のほか、戦後アメリカの芸術界で頭角を現す者も少なくなかった。例えばビル・ブラス(英語版)、エルズワース・ケリー、アーサー・B・シンガー(英語版)、アート・ケイン(英語版)といった芸術家は、いずれも第603工兵隊出身者である。 ゴム製の膨張式ダミーは第603工兵隊の主要装備で、コンプレッサーを接続し30秒ほどで膨らませることができた。作業は夜間行われたため、朝になってからダミーの前後が間違っていたことが明らかになったこともあった。耐久性にも問題があり、日が昇ると気温で膨張し破裂したり、空気漏れによって砲身が垂れ下がることもあったという。
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