複数の版の経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/25 14:28 UTC 版)
「ワルツ集 (ブラームス)」の記事における「複数の版の経緯」の解説
作曲者自身の見込みに反して、ビーダーマイヤー時代における家庭音楽への需要の高さから、このピアノ連弾曲の楽譜の売上げは非常に好調であった。そのことから、更に独奏でも楽しめるよう、ブラームス自身による独奏版が発表された。しかし、原曲がピアノ連弾であったことから、その独奏版は全般的に音域が広く、声部が多く、跳躍が多いため、演奏が難しいという評判が生まれたため、更に広く一般に親しみやすくする目的で、弾きやすい簡易演奏版の独奏版もブラームス自身によって発表された。また、それとは逆に、ブラームス自身によって楽想が膨らまされた2台ピアノ版(下記のとおり5曲のみ)も発表されている。 ブラームスの全作品の中にあって珍しく意図的に各曲を簡潔に終えていることを感じることができ、性格の異なる種々多様な音楽がスピード感を持って次々と展開されていくため、ショパン「前奏曲集」作品28のブラームス版とでも言えるような、雰囲気の切り換わりこそが愉しみとなるよう意識されている。ワルツと言えども、ウィンナワルツの様式というわけではなく、レントラーに近いもの、リズムが目立ったもの、3拍子を崩した動きが意図されたもの、スラヴ風の愁いを含んだもの、ハンガリー風のにぎやかな曲想をもつもの、子守唄風のもの、夜想曲風のもの等と趣向を凝らしている。簡潔で素朴なうちにも、緊密で明晰な形式感や、音楽的な趣味といったブラームス作品の特徴が凝縮されている。
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