藩窯の組織
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 22:41 UTC 版)
大河内藩窯の御細工場(磁器工房)は、細工方11名、画工9名、捻細工4名、下働き7名の31名から構成されていた。他に「御手伝窯焼」として本手伝10名、助手伝6名がおり、その他御用赤絵屋、御用鍛冶屋、御用土伐、御用石工、薪方頭取などの諸職が存在した。これらの職人によって磁土の精製、成形、下絵付け(染付)、本焼き、上絵付け(色絵)、上絵の焼き付けなどの工程が分業で行われ、さらに原料の磁土を採掘する者、窯を焚くための薪を供給する者など、多くの人材が関わっていた。色絵(赤絵)の場合、下絵付け(呉須というコバルト質の絵具を用いる。焼きあがると青色に発色する)と上絵付け(下絵の上に赤、黄、緑の色絵を施し、再度焼く)は完全な分業であった。すなわち、本焼きまでの工程は大川内の藩窯で行われ、上絵付けは有田の赤絵町で行われた。御細工場の職人たちは身分が保証される代わりに、製品の質の確保と、技術漏洩防止のため、藩からの厳しい統制下に置かれていた。藩窯が有田や伊万里の中心部から遠く離れた山間の大川内に置かれたのも、情報漏洩を防ぐためであったと言われている。
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