苦行と完全なる悟り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 09:18 UTC 版)
その後すべての教えを授かってマルパの元を離れたミラレパは、師の訓戒に従って、人里離れた山中の洞窟で、長期にわたる孤独な苦行に励む。ミラレパは修行中に食べ物の貯えが尽きると、集落まで托鉢に行く時間を惜しんで、洞窟の周囲に自生するイラクサの水煮のみを食べて瞑想修行を続けたため、体中が緑色になり痩せ衰えて幽霊のような風貌になったという。また、着ている服が擦り切れて使い物にならなくなると、衣服を探す時間を惜しみ、洞窟内にあったツァンパ(炒った大麦粉)の布袋を体にまとって修行を続け、それさえも擦り切れると、最後には全裸のまま修行を続けたという。 そのような熱誠を込めた精進の末に、ミラレパはついに様々な神通を現すことが出来るようになる。昼には、意のままに変身し、空中を飛行し、奇跡を起こし、また夜には夢の中で、宇宙の果てまで探索し、無数の化身を現し仏陀の浄土に赴いて説法を聞き、無数の有情に法を説き導くことが出来たという。 そしてミラレパは、最終的に完璧な悟りを得て仏陀の境地を成就する。 ミラレパは「トゥンモ」のヨーガの成就によって体温を制御出来たので、雪線より高地でも綿衣のみしか身に付けなかった。これが「ミラ姓のレパ(綿衣の行者)=ミラレパ」の名前の由縁である。また後に弟子たちもミラレパに習って白い綿衣をまとい「レパ」を名乗るようになった。
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