良好措置・不良措置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 14:08 UTC 版)
遵守事項を守り、社会の順良な一員として更生したと認められる場合には良好措置がとられ、インセンティブとしての役割を果たす。逆に遵守事項違反があった場合にはペナルティとして不良措置が取られる。 1号観察には、良好措置として、良好停止や、期間満了の前に処分を終了する「解除」という措置が用意されている。良好停止や解除は、保護観察所長が決定する。一方、遵守事項違反については、保護観察所長による警告及び保護観察所長の申請に基づく家庭裁判所による更に重い保護処分(児童自立支援施設若しくは児童養護施設送致または少年院送致)がある。さらに、虞犯事由があると認められる場合は保護観察所長は家庭裁判所に通告し、新たな保護処分を求めることができる。 2号観察における良好措置は退院である。本退院とも言う。保護観察所長が地方更生保護委員会に申請し、地方更生保護委員会が決定する。不良措置は、遵守事項を遵守していないことを要件とする「戻し収容」である。 3号観察には良好措置は無く、不良措置のみが用意されている。不良措置は保護観察の停止、仮釈放の取消である。どちらも、保護観察所長が申請して、地方更生保護委員会が決定する。保護観察の停止は、3号観察対象者が、その所在を明らかにしないなどして、保護観察を行うことができない場合に、保護観察を停止することにより、刑期の進行をとめる(そのため、停止されている期間の分、刑期の終了日が後に延期する)効果がある。また、停止中の者と保護観察所との間に、保護観察関係がないと公的に宣言するものである。仮釈放の取消は、遵守事項違反の事実や新たな犯罪を理由として、仮釈放を取消す(仮釈放が許された期間全てについて、もう一度刑務所に入ってやりなおす)ものである。3号観察対象者は、有罪の確定判決で、刑の執行を受けた者であることから、不良措置は厳格に行われている。 4号観察の良好措置は仮解除である。保護観察に付された身分や、執行猶予期間に変更は無いが、保護観察を仮に解除するものである。保護観察所長が地方更生保護委員会に申請し、地方更生保護委員会が決定する。不良措置は、刑の執行猶予取消である。保護観察所長は、検察官に申出をして、裁判所が決定をする。刑の執行猶予は、遵守事項違反だけでは足りず、その情状が重いと認められなければ取り消されない。
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