脚色される『秋田杉直物語』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 15:20 UTC 版)
「秋田騒動」の記事における「脚色される『秋田杉直物語』」の解説
秋田県公文書館には『秋田騒動聞書夢之噂』と題する一書がある。乾巻と坤巻より出来ていて坤巻本文末には「宝暦十年秋八月吉日」という奥書がある。この本でも秋田騒動の首謀者は那珂忠左衛門であるとしている。しかし、この本では佐竹義真を毒殺したのは北家・東家であり、その仇を報ずることが大義名分であるとしている。那珂、真壁、梅津、大越の先祖のことなどがより詳しく記述されている。さらに反銀札派の平本も活躍している様子が描かれ、銀札に対する落書きも多く記録されていて秋田で書かれたことがうかがわれる。坤巻では那珂忠左衛門のことが詳しく記述しており、那珂と孫達との別れが長々と語られている。しかし、処刑当日も顔色が変わらなかったので人々が「大勇の人にあらずや」と評したなどと、単なる悪役ではなくスケールが大きな人物として描かれている。また、那珂や真壁掃部助などの家老サイドから事件を追っていて、救国の士でありアイディアマンの那珂像をにおわせている。佐竹義真を毒殺したのは北家・東家とし、落首をちりばめ、さめた筆使いを特色としている。 『国産秋田蕗』は十万字におよぶ長編で、『秋田杉直物語』を基礎に、さらに那珂忠左衛門の悪事を詳細に記述したもので、秋田のことは『秋田騒動聞書夢之噂』の記述を元にしていると思われる。『秋田騒動実記(大全)』や『秋田杉直成記』と内容が同じで、複数の書名があるのは、この書がかなり流布していたからであるように思われる。 幕末の『秋田蕗』はお百の記述を増して、怪奇フィクションの要素を取り入れた作品である。
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