聖書におけるリリス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/28 10:18 UTC 版)
エドムの荒廃について書いている『イザヤ書』34章14節は、旧約聖書のなかで唯一リリスについて言及している箇所である。 荒野の獣はジャッカルに出会い 山羊の魔神はその友を呼び 夜の魔女は、そこに休息を求め 休む所を見つける。 — 新共同訳、以下同じ Schrader (Jahrbuch für Protestantische Theologie, 1. 128) とLevy (ZDMG 9. 470, 484) は、リリスはバビロン捕囚によってユダヤ人たちの間に知られるようになった夜の女神であると考えた。しかしリリスが妖怪というよりは女神である、という証拠はない。イザヤ書の成立は前6世紀ごろで、この時期はむしろバビロニアの妖怪リリートゥが言及されている時期と一致している。ブレア (2009)によると、リリスはヨタカである。 七十人訳聖書は、適切な訳語がなかったためだろう、リリスをオノケンタウロス(onokentauros)と翻訳している。前のほうにある「山羊の魔神」もダイモン・オノケンタウロス(daimon onokentauros)と翻訳されている。この節におけるその他の部分は除外されている。 ヒエロニムスはリリスをラミアと翻訳した。ラミアはホラティウスの『詩の技法』340にみられる子供をさらう鬼女で、ギリシア神話ではリビュアの女王であり、ゼウスと結婚した。ゼウスの妻である女神ヘーラーは、ゼウスに無視されるようになってからラミアの子供たちを奪った。それ以来、ラミアは他の女性の子供を奪う怪物になってしまった。 欽定訳聖書における screech owl という訳には前例がない。これは、34章11節の「フクロウ」(yanšup)および「大きなフクロウ」(qippoz)とともに、翻訳するのが難しいヘブライ語の単語を、その部分の雰囲気に似合ったそれらしい動物を選ぶことによって意訳しようとしたのではないかと思われる。
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