聖ギヨームの着衣式とは? わかりやすく解説

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聖ギヨームの着衣式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/12 12:13 UTC 版)

『聖ギヨームの着衣式』
イタリア語: Vesitizione di San Guglielmo
英語: St William of Aquitaine Receiving the Cowl
作者グエルチーノ
製作年1620年ごろ
種類キャンバス上に油彩
寸法345 cm × 231 cm (136 in × 91 in)
所蔵ボローニャ国立絵画館英語版

聖ギヨームの着衣式』 (せいギヨームのちゃくいしき、: Vesitizione di San Guglielmo: St William of Acuitaine Receiving the Cowl) は、イタリアバロック期の巨匠グエルチーノが1620年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。画家青年期の集大成ともいえる[1]初期の最も重要な作品であり[2][3]、また彼がボローニャの聖堂から最初に受けた依頼作でもあった[1]。主題としてアキテーヌギヨーム・ド・ジェローヌを描いている。現在、ボローニャ国立絵画館英語版に所蔵されている[1][2][3]

歴史

「この年 (1620年) に、彼 (グエルチーノ) は、ミランドラ神父の仲介により[1]比類なき美しい絵画をボローニャのサンティ・グレゴリオ・エ・シーロ教会 英語版のクリストフォロ・ロカテッリ (Christoforo Locatelli) の祭壇のために制作し、150スクーディを支払った」と、伝記作者のカルロ・チェーザレ・マルヴァジーア英語版は1678年に述べている[4]。ロカテッリの礼拝堂は、「教会を入って最初の左側にあり、作品はかくも素晴らしいものなので、グエルチーノの師ルドヴィコ・カラッチの隣の作品と比べても遜色はないといえる」[5]。本作は1796年まで教会にあったが、ナポレオンの代理人によって接収され、すぐにパリルーヴル美術館に展示された[6]。返還後、ヴァチカン宮殿に短期間展示されたが、1816年ないし1817年にボローニャに戻り、以来、ボローニャ国立絵画館に所蔵されている[7]

作品

構図の中心には跪いた主役の人物ギヨームがおり、監督 (キリスト教)司教から修道士用衣服英語版を受け取るところである。彼は輝くを身に着け、一群の兵士たちの先頭にいる。1人の兵士の肩には軍旗が見える。階段の上にいるギヨームと司教が2人で剣を支え持っており、司教は空いている手でギヨームを祝福している。画面上部では、天使が2人の聖人に伴われている聖母子を指し示している[8]。構図は非常に独創的で、人物たちは見えない菱形に沿って配置されており、画面の中央部は空洞になっている。光と影により、非常に微妙な色彩と濃い暗色の部分が強調されている[2]

この絵画には自然主義的な描写、強い明暗、やや浅い空間構成[1]といった反古典主義的特質が見られ、それを特徴とするグエルチーノの青年期様式の頂点を示している[9][10]。グエルチーノの青年期に関して、ジョヴァンニ・バッティスタ・パッセリ英語版はあるエピソードを報告している[1]。若い弟子たちととともサンティ・グレゴリオ・エ・シーロ教会の自身の絵画の前にいた時、グエルチーノは彼らに「しかし、あのころ、まだ鍋は沸騰していたんだ」と述べたという[1][11]が、これは絵画が彼の青年期の最大の情熱の結果であったということである[1][12]。実際、ルドヴィコ・カラッチの絵画の隣に飾られることになっていた本作に対するグエルチーノの意気込みが相当なものであった[1]ことは、現存する多くの素描が物語っている[1][2][3]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j 『グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家』、2015年、57貢。
  2. ^ a b c d (英語) St William of Aquitaine Receiving the Cowl”. Web Gallery of Artサイト. 2025年4月12日閲覧。
  3. ^ a b c (イタリア語) San Guglielmo d'Aquitania riceve l'abito religioso da San Felice Vescovo. (Vestizione di San Guglielmo)”. ボローニャ国立絵画館公式サイト (イタリア語の英訳). 2025年4月12日閲覧。
  4. ^ Malvasia, II p. 364
  5. ^ Scannelli, p. 362
  6. ^ Notices… p. 59 s, n.70
  7. ^ Mahon 1991 p. 129
  8. ^ Loire, p. 294
  9. ^ Mahon 1947 pp 19-22.
  10. ^ Mahon, 1968 p.150.
  11. ^ Passeri pp 345s.
  12. ^ Salerno p 148

参考文献

  • 『グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家』、国立西洋美術館ボローニャ文化財・美術館特別監督局、チェント市、TBS、2015年刊行 ISBN 978-4-906908-12-7
  • Loire Stéphane, scheda in ''Pinacoteca Nazionale di Bologna. Catalogo generale. Tomo 3: Guido Reni e il Seicento'', Bologna, 2008.
  • Mahon Denis Studies in Seicento Art and Theory Londra, Warburg Institute 1947
  • Mahon Denis Il Guercino (Giovanni Francesco Barbieri, 1591-1666): catalogo critico dei dipinti
  • Mahon Denis in ll Guercino 1591-1666 Catalogo della mostra tenutasi a Bologna, Museo Civico Archeologico; Cento, Pinacoteca Civica e Chiesa del Rosario; 6 settembre - 10 novembre 1991 Bologna, Nuova Alfa Editoriale 1991 ISBN 9788877792846
  • Malvasia Carlo Cesare Felsina pittrice. Vite de' pittori bolognesi Bologna, Tipografia Longhi 1678
  • Notices des principaux tableaux recueillis dans l’Italie par les commissaires du Gouvernement français, Paris, Imprimerie de la République, 1799. Edizione digitale disponibile su Gallica, consultato il 2 aprile 2025.
  • Passeri Giovanni Battista Die Künstlerbiographien von Giovanni Battista Passeri Editore: Heinrich Keller (Leipzig) e Anton Schroll & Co. (Vienna) 1934
  • Salerno Luigi I dipinti del Guercino con la consulenza di Denis Mahon, Roma Ugo Bozzi Editore 1988 ISBN 978-8870030204
  • Scannelli Francesco Il Microcosmo della pittura Cesena, editore Neri 1657

外部リンク




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