巫女 (グエルチーノ)とは? わかりやすく解説

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巫女 (グエルチーノ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/01 13:27 UTC 版)

『巫女』
イタリア語: Sibilla
英語: Sibyl
作者 グエルチーノ
製作年 1619-1620年
種類 キャンバス上に油彩
寸法 72.7 cm × 61.7 cm (28.6 in × 24.3 in)
所蔵 ボローニャ国立絵画館英語版

巫女』(みこ、: Sibilla: Sibyl)は、イタリアバロック絵画の巨匠グエルチーノが1619-1620年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。研究者デニス・マーン英語版から遺贈された作品で、現在、ボローニャ国立絵画館英語版に所蔵されている[1][2]。同じくグエルチーノの手になる『聖イレーネに介抱される聖セバスティアヌス』 (ボローニャ国立絵画館) を委嘱したフェラーラ教皇特使[1]ジャコモ・セッラ英語版 枢機卿[1][2]、もしくは彼の甥のために制作されたと考えられる[2]

作品

この絵画に表される巫女は一見して明らかなように、『聖イレーネに介抱される聖セバスティアヌス』のイレーネ像を転用している。イレーネが右手に持つ海綿を巻物に変え、書物を足して巫女としたほかは、布地の襞の一本一本にいたるまで同一である。かねてより『聖イレーネに介抱される聖セバスティアヌス』の習作であると見なされてきた[1][2]が、X線画像では描き直しの跡が見られない[2]。したがって、習作であったとすると、ある程度まで描いた時点で『聖イレーネに介抱される聖セバスティアヌス』を手掛け、その後、本作を完成させたと見ることもできる[1][2]

グエルチーノ『聖イレーネに介抱される聖セバスティアヌス』 (1619年)、ボローニャ国立絵画館

また、本作は『聖イレーネに介抱される聖セバスティアヌス』の複製である可能性も指摘されている[1][2]。グエルチーノは時折自作の複製を描いた。また、本作の巫女像のように部分のみを取り出して、別の主題を持つ作品に描き加えた例もある。『マルシュアスの皮を剝ぐアポロン』 (パラティーナ美術館フィレンツェ) 中の2人の羊飼いが『我アルカディアにもあり』 (バルベリーニ宮国立古典絵画館ローマ) に繰り返されているのがそれにあたる[2]

本作は、闊達な筆遣いや豊かな色彩、深く柔らかな陰影により、独立した絵画として十分魅力的な作品となっている[2]。『聖イレーネに介抱される聖セバスティアヌス』中のイレーネは主役ではなく、さらに大画面のため彼女は鑑賞者からかなり遠くに配されていた。しかし、本作に登場するのは巫女だけであり、画面いっぱいに描かれていることで彼女がすぐ向こうにいるように感じられる。そのために装身具もイレーネ以上に丹念に描かれている[2]

脚注

  1. ^ a b c d e f (イタリア語) Sibilla”. ボローニャ国立絵画館公式サイト (イタリア語の英訳). 2025年4月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j 『グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家』、2015年、78頁。

参考文献

外部リンク




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