翻訳物語の傾向と国産物語の台頭
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 17:05 UTC 版)
「フランス・ルネサンスの文学」の記事における「翻訳物語の傾向と国産物語の台頭」の解説
この時期のフランスの文学的指向は、スペイン人作家ディエゴ・デ・サン・ペドロやフアン・デ・フロレスの作品で描かれていたような情愛や悲愴といったものであった。これらのスペイン作家の作品はもてはやされたが、その淵源は、ある軽蔑された女性を鋭く描き出したボッカッチョの『フィアンメータ嬢』に遡る。この感傷的な調子は、エリゼンヌ・ド・クレンヌの『愛から生じる悲痛なる煩悶』の一部にも素晴らしい表現を見いだすことになる。それは、感傷的・騎士道的要素、人文主義的学識、雄弁などがブレンドされたものである。 外国の冒険小説は、16世紀後半に、ベロアルド・ド・ヴェルヴィルやニコラ・ド・モントルーといったフランス人作家との競争にさらされることになる。現代では読まれなくなっているこれらの著者は、伝統的な騎士道文学の様式の多くを棄て、2つの新たなインスピレーションの源から借用した技術や付随事項に置き換えた。その2つとは、ヘリオドルスやロングスらによる古代ギリシャの小説、およびイタリアやスペインから流入した詩と散文が渾然となった牧歌的小説である。 16世紀末期のフランス小説の新しさと発明は、匿名の作品『ラ・マリアーヌ・デュ・フィロメーヌ』で最も良く見ることができる。これは、女性に裏切られた男性が、彼女を忘れようとパリに上京する物語であるが、枠物語、情愛的感傷、夢、牧歌的要素が混ぜ合わされている。
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