線型自励系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/23 09:52 UTC 版)
定数係数の一階線型微分方程式系の不動点の安定性は、対応する行列の固有値によって解析される。自励系 x ′ = A x {\displaystyle x'=Ax} (ただし x(t)∈Rn であり A は実数を成分に持つ n×n 行列)は、定数解 x ( t ) = 0 {\displaystyle x(t)=0} を持つ(すなわち、原点 0∈Rn は対応する力学系の平衡点である)。この解が t → ∞ (すなわち「未来」)に対し漸近安定であるための必要十分条件は、A のすべての固有値 λ の実部に対し Re(λ) < 0 が成り立つことである。同様に、t → −∞ (すなわち、「過去」)に対し漸近安定であるための必要十分条件は、Re(λ)> 0 が A のすべての固有値 λ に対して成り立つことである。Re(λ) > 0 であるような A の固有値 λ が存在するなら、解は t → ∞ に対して不安定である。 線型系に対する原点での安定性を決定するための、上述の結果の実践的な応用には、ラウス=フルビッツの判定法が利用される。ある行列の固有値は、その固有多項式の根である。実係数の一変数の多項式は、そのすべての根の実部が厳密に負であるとき、フルビッツ多項式(英語版)と呼ばれる。根の計算を避けるアルゴリズムによるフルビッツ多項式の特徴付けには、ラウス=フルビッツの定理(英語版)と呼ばれる定理がある。
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