統一戦線義勇軍とは? わかりやすく解説

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統一戦線義勇軍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/01 13:52 UTC 版)

日本政党
統一戦線義勇軍
議長 針谷大輔
成立年月日 1981年昭和56年)9月
本部所在地 神奈川県横浜市[1]
政治的思想・立場 新右翼
民族派
反米
YP体制の打破
反グローバル主義
脱原発
機関紙 『義勇軍報』(中央機関紙、季刊)
『緑旗』(中央委員会通信、不定期刊)[2]
公式サイト 統一戦線義勇軍公式サイト
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統一戦線義勇軍(とういつせんせんぎゆうぐん)は、日本の民族派新右翼団体[3]。略称は義勇軍[2]。新右翼の代表的な団体であり[4]、先鋭的な活動で知られている[5]

アメリカの国家犯罪を日本の側から裁く」ことが義勇軍の原点だとしている[3]。民族派陣営として初の「反米デー」を提唱したとされ[2]自衛隊工作活動や[2]新左翼のスタイルを取り入れ[6][7]、ヘルメットに覆面(マスク、サングラス)というゲバルトスタイルでデモをするなど[8][9]、従来の右翼団体とは異なる運動を行っている[10][2]。ヘルメットの色は[11]。かつては一水会の関連組織(「実践組織」[12][8]「行動組織」[13][14]「別働軍事組織」[15])であったとされる[16]が、現在は一水会とは全くの別組織[17][16]となっている。脳死者の臓器移植に反対の立場をとる[18][19]

兵庫県に関西管区として支部がある。スローガンは「反米愛国・自主独立! 自衛隊解体・国軍創設!」

沿革

1981年8月9日「反ソ統一戦線義勇軍」が結成され、9月23日「統一戦線義勇軍」に改称された[20]。北方領土奪還青年委員会、一水会、大日本皇心塾、日本憂国同志会などの若手活動家が既成の枠を超えた新たな運動をつくるため[21][22]木村三浩を中心に統一戦線義勇軍を結成した[2]東京都中央区の水谷橋公園で結成[23]、初代議長は木村三浩、書記長は清水浩司(本名・高橋哲夫、後の見沢知廉[22]。戦後体制の打破を主張し[22]、「反米愛国・抗ソ救国・民族自決・反権力」をスローガンとする[7]。大日本皇心塾、日本憂国同志会は離脱し、北方領土奪還青年委員会は1983年3月に解散して義勇軍に参加した[22][24]

1982年5月、機関紙『義勇軍報』創刊[22]。6月、マルビナス紛争(フォークランド紛争)でイギリスの植民地主義に反対してアルゼンチンを支持し、隊員が神田神保町英国大使館文化参事官事務所のあるビルに火炎瓶を投げ込む[25][26][27]。7月、隊員が陸上自衛隊勝田駐屯地で維新革命への呼びかけの檄文を散布する[22]。9月、日本刀と直訴状を持った隊員が教科書問題・外交政策に抗議して鈴木善幸首相私邸に乱入する[25][26][28]。同月、清水浩司書記長(見沢知廉)を含む新右翼活動家4人がスパイ粛清事件を起こす[29]

1983年11月、レーガン米国大統領来日阻止活動を行う[30][22]

1984年7月、全斗煥韓国大統領の来日に抗議し、隊員が空き瓶を投げて米国大使館の警備員詰所の窓ガラスを壊す[31][32]

1985年池子米軍住宅建設反対運動を展開[33][22]、5月、隊員が防衛施設庁横浜防衛施設局に火炎瓶を投げ込む[34][33][35]、また外務省職員を襲撃[2]

1987年1月、大悲会会長・蜷川正大、義友同志会会長代行・中台一雄、統一戦線義勇軍隊員・針谷大輔の3人が「YP体制打倒青年同盟」を名乗り、住友不動産の営利至上主義に抗議して安藤太郎会長私邸を襲撃[34][36][37]

1988年8月、「反ソデー」で警察と衝突し、多くの逮捕者を出す[38][2]赤報隊事件を調べるための別件逮捕だとされる[39]

1989年3月、一水会、義勇軍の大学生による民族派学生組織「日本民族主義学生評議会」(日民学評)発足[40]。9月、針谷大輔が2代目議長に就任[40]。この頃から広島長崎への原爆投下に抗議している[41]

1996年クリントン米国大統領来日反対行動で、武装闘争を計画、拳銃所持の容疑で針谷議長が逮捕される[2][42][43]

2005年7月、中国政府の覇権主義・外交政策に抗議し、中国駐大阪総領事館を襲撃[2]

2007年7月、幹部山口祐二郎防衛省庁舎に火炎瓶を投げ込む[44][45]

2011年7月、針谷議長が代表呼びかけ人として「右から考える脱原発ネットワーク」を設立し、脱原発デモを開始する[46][47]。11月、統一戦線義勇軍・中央委員会が経済産業省を訪問し、脱原発テント村の撤去を慎むよう要請した。また脱原発テント村を訪問し、赤軍派元議長の塩見孝也と対談を行った[48]

歴代議長

関連人物

脚注

  1. ^ 右翼問題研究会『右翼の潮流 〔補訂〕』立花書房、2006年、195頁
  2. ^ a b c d e f g h i j 宮崎、220頁
  3. ^ a b 別冊宝島編集部編(2016年)、90-91頁
  4. ^ 高木、26頁
  5. ^ 安田浩一ネットと愛国――在特会の「闇」を追いかけて』講談社、2012年、248頁
  6. ^ 鈴木邦男『夕刻のコペルニクス』扶桑社、1996年、101頁
  7. ^ a b 雨宮処凛『右翼と左翼はどうちがう?』河出書房新社、2007年、54頁,105頁
  8. ^ a b 別冊宝島編集部編(1989年)、60頁
  9. ^ 鈴木、149頁
  10. ^ 「デモの右翼11人逮捕 ソ連大使館周辺」『朝日新聞』1988年8月10日付
  11. ^ 針谷大輔 (2007年12月11日). “大東亜戦争の意義を継承する2”. 統一戦線義勇軍 議長 針谷大輔のブログ. 2016年7月14日閲覧。
  12. ^ 「理論再構築を急ぐ日本の右翼 天皇陛下のご病気も契機に」『週刊アエラ』1988年11月29日号、22頁
  13. ^ 別冊宝島編集部編(1989年)、62頁
  14. ^ 鈴木邦男 (2009年12月21日). “歴史的なイベントでした”. 鈴木邦男をぶっとばせ!. 2016年7月14日閲覧。
  15. ^ 思川清風. “【異色作家 故・見沢知廉との事ども】連載(1)”. 見沢知廉ファンサイト『白血球』. 2016年7月14日閲覧。
  16. ^ a b 外山恒一 (2015年7月). “野間易通 徹底批判”. 2016年7月14日閲覧。
  17. ^ 針谷大輔 (2010年7月31日). “ネット上の誤りを正す(義勇軍と一水会との関係)”. 統一戦線義勇軍 議長 針谷大輔のブログ. 2016年7月14日閲覧。
  18. ^ 針谷大輔 (2009年6月19日). “私は日本人として、断じて脳死を人の死と認める訳には行かない!”. 統一戦線義勇軍 議長 針谷大輔のブログ. 2016年7月14日閲覧。
  19. ^ noiehoie『保守の本分』扶桑社新書、2013年、70頁
  20. ^ 堀、654頁
  21. ^ 一橋文哉『「赤報隊」の正体――朝日新聞阪神支局襲撃事件』新潮社、2002年、60頁
  22. ^ a b c d e f g h 堀、425-426頁
  23. ^ 鈴木、150頁
  24. ^ 歩平、王希亮『日本の右翼――歴史的視座からみた思潮と思想』山邉悠喜子ほか訳、明石書店、2016年、434頁
  25. ^ a b 高木、159頁
  26. ^ a b 鈴木、292頁
  27. ^ 堀、70頁
  28. ^ 堀、655頁
  29. ^ 『昭和58年 警察白書』 第7章 公安の維持
  30. ^ 『昭和59年 警察白書』 第6章 公安の維持
  31. ^ 高木、162頁
  32. ^ 堀、520-521頁
  33. ^ a b 鈴木、294-295頁
  34. ^ a b 高木、165-166頁
  35. ^ 堀、581頁
  36. ^ 鈴木、157頁
  37. ^ 堀、311頁
  38. ^ 高木、35-36頁
  39. ^ 鈴木、296頁
  40. ^ a b 鈴木、297-298頁
  41. ^ 別冊宝島編集部編(2016年)、92頁
  42. ^ 別冊宝島編集部編(2016年)、96頁
  43. ^ 「第2回塀の中で懲りちゃった面々」”. ロフト (2007年4月15日). 2016年7月14日閲覧。
  44. ^ 山口祐二郎『ハイリスク・ノーリターン――ニート→ホスト→右翼→火炎瓶→脱原発人』第三書館、2013年
  45. ^ 山口祐二郎 (2015年9月27日). “在特会壊滅への道”. 第26回「週刊金曜日ルポルタージュ大賞」佳作入選作. 2016年7月14日閲覧。
  46. ^ “脱原発”のみを主張する右翼主導のデモ”. 日刊SPA! (2011年10月4日). 2016年7月14日閲覧。
  47. ^ 針谷大輔『右からの脱原発』K&Kプレス、2012年、30-37頁
  48. ^ 田中龍作 (2011年11月16日). “【Occupy経産省】 民族派新右翼、当局に「(脱原発)テント撤去するな」と要請”. 田中龍作ジャーナル. 2016年9月12日閲覧。
  49. ^ a b 針谷大輔 (2008年1月20日). “中央委員会人事”. 統一戦線義勇軍 議長 針谷大輔のブログ. 2016年7月14日閲覧。
  50. ^ 瀬戸弘幸 (2009年1月30日). “連載・『赤報隊』と『日本民族独立義勇軍』⑤ 初めて明かす義勇軍創設と私の立場”. せと弘幸BLOG『日本よ何処へ』. 2016年7月14日閲覧。
  51. ^ 針谷大輔 (2009年2月13日). “サンデー毎日2月22日号の記事に関して”. 統一戦線義勇軍 議長 針谷大輔のブログ. 2016年7月14日閲覧。
  52. ^ 針谷大輔 (2009年2月17日). “サンデー毎日の柔軟さを、この先新潮も見習えと、警告して置く!”. 統一戦線義勇軍 議長 針谷大輔のブログ. 2016年7月14日閲覧。
  53. ^ (2ページ目)週刊金曜日ルポタージュ大賞佳作受賞の山口祐二郎が激白! 在特会が衰退し、今後のカウンターはどこへ向かうのか!?”. R-ZONE (2015年11月8日). 2016年7月14日閲覧。
  54. ^ 吉野太一郎 (2014年2月6日). “ヘイトスピーチに「愛国者じゃない、日本の恥」 カウンター右翼青年が叫ぶ理由”. ハフィントンポスト日本版. 2016年7月14日閲覧。

参考文献

  • 鈴木邦男『新右翼――民族派の歴史と現在〔改訂増補版〕』彩流社、2005年。
  • 高木正幸『右翼・活動と団体』土曜美術社、1989年。
  • 別冊宝島編集部編『平成元年の右翼――右翼の未来はあるか?!』JICC出版局、1989年。
  • 『日本の右翼と左翼がわかる本』宝島社、2016年。
  • 堀幸雄『最新 右翼辞典』柏書房、2006年。
  • 宮崎学『右翼の言い分』アスコム、2007年。

関連項目

外部リンク


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