給気速度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/06 22:40 UTC 版)
(本節の参照) 密度差で生じた圧力差 ΔP によって外部から煙突に入る空気の体積を Vo 、この体積の空気の質量を mo 、空気の流速を uo とすると、エネルギー保存の法則から下記の関係が成り立つ。 Δ P ⋅ V o = 1 2 m o ⋅ u o 2 {\displaystyle \Delta P\cdot V_{o}={\frac {1}{2}}m_{o}\cdot u_{o}^{2}} ここで Δ P = g ⋅ h ⋅ ρ o ⋅ T i − T o T i , ρ o = m o V o {\displaystyle {\begin{aligned}\Delta P&=g\cdot h\cdot \rho _{o}\cdot {\frac {T_{i}-T_{o}}{T_{i}}},\\\rho _{o}&={\frac {m_{o}}{V_{o}}}\end{aligned}}} の関係を使うとガスが煙突に流入する速度 uo は下式で与えられる。 u o = 2 g ⋅ h ⋅ T i − T o T i {\displaystyle u_{o}={\sqrt {2g\cdot h\cdot {\frac {T_{i}-T_{o}}{T_{i}}}}}} この速度に煙突の断面積 A を掛けた値が、給気速度 Q である。ただし、現実の空気ではエネルギーの損失等に対する補正として、流量係数 C (通常0.65 - 0.7)を掛けた値が用いられる。 この結果、給気速度と外気温度の関係として下式が得られる。 Q = C ⋅ A ⋅ 2 g ⋅ h ⋅ T i − T o T i {\displaystyle Q=C\cdot A\cdot {\sqrt {2g\cdot h\cdot {\frac {T_{i}-T_{o}}{T_{i}}}}}} 記号 意味と 単位 Q:煙突効果による給気速度, [m3・s-1] A:煙突の断面積, [m2] C:流量係数 (通常0.65 - 0.7) g:重力加速度 [9.80665 m・s-2] h:煙突の高さ, [m] To: 外気の絶対温度, [K] Ti: 煙突内平均温度, [K] 例 高さ 25 m の煙突で、煙突内部温度が 250 ℃(紙が燃焼し始めるおおよその温度)で、外部気温が 20 ℃ の場合、内外の圧力差は約 130 Pa と少ないが、給気速度は約 10.4 (m/秒)に達し100 m を約 9.6 秒で進む。これは陸上競技の 100 m 走の世界記録より速い、煙突頂上まで 5 秒弱で到着する。このことは、高層ビルの火災での煙は、ヒトの駆ける速度より早く広がっていく事を意味する。
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