細菌細胞壁合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/03/02 12:03 UTC 版)
「グルタミン酸ラセマーゼ」の記事における「細菌細胞壁合成」の解説
グルタミン酸ラセマーゼは、murI遺伝子でコードされる細菌の酵素である。この酵素は、細菌の細胞壁合成に必要であることが知られている。実験から、この酵素はラセミ化によってL-グルタミン酸からD-グルタミン酸を合成することによって、細胞壁を組み立てていることが明らかとなっている。D-グルタミン酸は、原核生物の細胞壁において、必須の構成成分であるペプチドグリカン層のモノマーとなる。ペプチドグリカン層は細胞壁の剛性にも関わっている。MurIがグルタミン酸のエナンチオマーの相互変換を触媒する過程は、アロステリック部位に結合して触媒反応を開始させる補因子を必要としない。MurIがグルタミン酸のエナンチオマーをD-グルタミン酸に変換する過程は、2つの段階からなる。第1段階では、基質が脱プロトン化され、アニオンとなる。続いて、基質は再プロトン化される。グルタミン酸が酵素の活性部位に結合すると、ドメインの大きな構造変化が起きる。この変化により、触媒に関与する2つのシステイン残基Cys73とCys184が重ね合わされ、基質の両側に位置する。前述のドメインは対称的であり、この対称性は、このタンパク質が遺伝子重複により進化してきたことを示唆している。この細胞壁生合成の機能により、MurIは抗菌剤としての利用が期待されている。
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