第18条 自由な移動についての権利
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/01 09:12 UTC 版)
「欧州連合の市民」の記事における「第18条 自由な移動についての権利」の解説
ローマ条約第18条第1項では次のようにうたわれている。 (日本語仮訳)連合のあらゆる市民は加盟国の領域内において、この条約で定められた制限と条件にしたがい、またこの条約に効力を持たせるために採択された措置により、自由に移動し、居住することができる。 また欧州司法裁判所は以下のように判示している。 (日本語仮訳)欧州連合の市民権は加盟国民の基本的な地位として定められているものである。 欧州司法裁判所は、この第18条はほかの加盟国に居住する市民に直接効力を持つ権利を与えるという立場をとっている。2002年の判例以前は、非経済的活動を行う市民にはローマ条約から直接的に居住権は認められておらず、ローマ条約の下で制定された指令にのみ由来するものであると広く考えられてきた。ところがこの2002年の判例では、欧州司法裁判所は第18条について、居住権は一般的に行使できるものとして規定しており、その居住権は指令などの2次法によって限定されるものではあるが、その2次法も比例原則的である場合に限るという判断を示した。加盟国は法規定が比例原則を満たす場合に限り、自国民と連合市民を区別することができるのである。移住してきた連合市民には「受入国への溶け込みの度合いを考慮して、財政的一体性が限られているという合理的な予測が可能である(一部略)」。この溶け込みの度合いを評価するさいには、居住期間がとくに重要な要素となる。 欧州司法裁判所の市民権に関する判例に対しては、比例性の評価についての加盟国内における法令の数が増加していることに関して批判が出されている。
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