破滅を呼ぶ首飾り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/23 01:43 UTC 版)
フェアノールの息子マイズロスは、シンゴル王にシルマリルの引渡しを求めたが、その態度が尊大で威嚇的だったために拒絶された。実は王自身がこの宝玉に魅せられていたからという理由もあり、しかも時とともにその執着が激しくなってきた。そのような折、かつてシンゴルの庇護の下にいた人間の戦士トゥーリンの父親、フーリンがたずねてきた。トゥーリンが放浪の果てに死んだことを知ったフーリンはシンゴル王を逆恨みしており、王の亡き縁者フィンロドへドワーフから贈呈された首飾り「ナウグラミーア」を皮肉交じりに「息子を守ってくれた礼」として置いていったのである。 シンゴルはシルマリルをナウグラミーアにはめ込んで、より美しい一個の宝物にすることを思いついた。そこでドワーフの職人を呼び寄せて作業を依頼したのだが、そのドワーフたちまでもが宝玉のとりこになってしまい、王を殺害して完成した首飾りを持ち逃げした。すぐにエルフの追っ手が王殺しの犯人を討ち、ナウグラミーアを取り戻したが、生き残りのドワーフは同族たちに、シンゴル王が仕事の報酬を渋って仲間の命を奪ったと説明した。そのために両種族の戦争が起こり、亡きシンゴルの宮殿はドワーフ軍に荒らされ、シルマリルは再度略奪された。 隠棲していたベレンは、妻ルーシエンの祖国の危機を知ると、息子ディオルとともに最後の戦いにおもむいた。かれはドワーフ王を討ち取って、以前にモルゴスの鉄冠からこじり取ったシルマリルを再度手にすると、ルーシエンに預けた。その後ディオルは両親と別れ、シンゴル王の跡継ぎとしてシンダールの国の復興に携わることになった。ある秋のこと、かれのもとにシルマリルとナウグラミーアが届けられ、それによってディオルは、両親が今度こそ本当にこの世を去ったことを悟った。 それまでおとなしくしていたフェアノールの息子たちであったが、ディオルのもとにシルマリルがあることが広まると、再集結して宝玉を要求した。ディオルは何の返事もよこさなかったため、かれらは再興した王国を襲った。戦いの末、7人兄弟のうち3人が戦死したが、ディオルもまた死んだ。しかしかれの娘エルウィングがシルマリルを持って逃げたため、兄弟の誓いは果たされなかった。
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