石器生産、交易活動と交易路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/18 03:55 UTC 版)
「テオパンテクアニトラン」の記事における「石器生産、交易活動と交易路」の解説
Lomeríos地区の家屋遺構から発見された黒曜石は、緑色を呈するものはわずかで、灰色と黒色が帯状になり、独特の光沢をもつものが多く、このことは、メキシコ中央高原より北方のイダルゴ州のパチューカなどよりも、メキシコ中央高原周辺のオトゥンバ産のものが主であったことを示している。 家屋遺構から検出される75%は、3つの稜をもつ断面三角形のプリズマティック・ブレイドと呼ばれる石刃であり、特定の2か所に集中していることから黒曜石のコア(石核)が交易によって持ち込まれ、明確にどの場所とは限定できないものの、家屋遺構に工房があってそこで加工されたことをうかがわせる。 テオパンテクアニトランが交易の結節点であったことを推察させるものにおびただしい太平洋産の貝類の出土がある。出土した貝類はすくなくとも8種類の太平洋産のもので、そのうち78%をPinctada mazatlanicaという真珠ガキの一種が占める。発掘調査によって、そういった貝類を加工した工房があったことをうかがわせる貝類の破片やけずりくずが集中している箇所がS5住居跡で確認された。 スポンディルス貝(ウミギクガイ)を用いて作ったオレンジ色のビーズや真珠ガキや大型の巻貝を用いて作ったブレスレッドなども発見されている。 真珠ガキを用いて動物を象ったり、幾何学的な形に加工した装飾品は、主として儀礼をおこなった遺構であるRecinto複合で発見され、前述したようにその北側で確認された子どもや犬の埋葬の副葬品としても確認されている。 この真珠ガキはメキシコ中央高原のトラパコヤやトラティルコでも確認されており、オトゥンバ産の黒曜石がゲレロ州にもたらされる一方で、太平洋産の貝類がメキシコ中央高原に持ち込めるような交易路の存在をうかがわせる。各遺跡の調査成果などから、複数の研究者が太平洋岸から南シェラマドレ山脈を横切り、フストラワカ、オシュトテイトラン、テオパンテクアニトラン、アマクサック河谷を通ってメキシコ中央高原に至るルートがあったと考えている。
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