省令と告示
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/17 00:46 UTC 版)
日本の鉄道車両検査の法的な背景について以下に説明する。国土交通省の「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」(平成十三年十二月二十五日国土交通省令第百五十一号)の第89条及び第90条では次のように定められている。 第89条(本線及び本線上に設ける電車線路の巡視及び監視並びに列車の検査) 本線及び本線上に設ける電車線路は、線区の状況及び列車の運行状況に応じ、巡視しなければならない。 2 本線において列車の安全な運転に支障を及ぼす災害のおそれのあるときは、当該線路を監視しなければならない。 3 列車は、その種類及び運行状況に応じ、車両の主要部分の検査を行わなければならない。 第90条(施設及び車両の定期検査) 施設及び車両の定期検査は、その種類、構造その他使用の状況に応じ、検査の周期、対象とする部位及び方法を定めて行わなければならない。 2 前項の定期検査に関する事項は、国土交通大臣が告示で定めたときは、これに従って行わなければならない。 さらに上記の省令と同時に告示の「施設及び車両の定期検査に関する告示」(国土交通省告示第千七百八十六号)が通達され、告示第5条で車両の検査項目や間隔などの大筋の内容が定められている。これらの省令と告示に従い、各鉄道事業者が鉄道車両の検査の詳細で具体的な内容を定め、国へ届け出ることになっている。 2002年(平成14年)以前までは「鉄道車両運転規則」「新幹線運転規則」などの省令に従って検査が定められていた。これらの旧省令では、「仕様規定」と呼ばれるような車両の使用実態とは無関係に検査内容や検査周期を画一的に定める内容となっており、各鉄道事業者が実情に合わせて個別に検査基準を定めることができなかった。2002年の省令・告示では、技術の進歩や経済・社会のグローバル化に柔軟に対応できることを目的にして、車両が満たすべき機能が保持されていれば良しとする「性能規定」の考え方を盛り込んだ内容となった。これにより、2002年の告示では従来の検査周期も定められているが、一方で「ただし、耐摩耗性、耐久性等を有し、機能が別表の下欄に掲げる期間以上に確保される車両の部位にあっては、この限りでない。」とされ、安全性が確認されれば機器毎に検査周期を各鉄道事業者が定めることができる。後述のJR東日本の新保全体系と呼ばれる検査体系は、このような省令の変遷によって許容されるようになった。
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