直釜(じがま)
簡単な構造の泡盛蒸留機。醪を加熱する銅鍋とそれに続く蒸気の導管(うま)と冷却蛇管により成る。この型の蒸留機は大正期より使用されたと推定され、沖縄では昭和四〇年代に大部分は蒸気加熱式となり大型化したが、現在でも数か所の泡盛酒造場でこれを使用している。泡盛蒸留機は古くは錫甑(かにくしち)、垂鍋、酒垂甑(さきたりくしち)などと称されたが、直釜式より古い型に次のものがある。1.冷却鍋と錫(すず)製漏斗(じょうご)および小導管による型。古老の見聞から、明治以前に使用と推定される。2.溝付冷却鍋型。鍋の内面に溝がありそれに小導管が接続。明治期はほとんどこの型を使用。3.溝付冷却鍋式(2.)と冷却蛇管併用型。明治二〇年代の調査(沖縄県旧慣租税制度)では、四酒造場がこれを使用。九州の焼酎の蒸留機は沖縄から伝えられ、醪の性状の変化とともに改良が加えられたといわれ、古来使用の型式として「兜釜(かぶとがま)式」「ツブロ釜式」があるが、前者は1.型の簀子(すのこ)つき、後者は2.型と類推される。
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