発表後の評価とその後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 00:48 UTC 版)
「ミネソタ多面人格目録」の記事における「発表後の評価とその後」の解説
MMPIの発刊後、実際に使用されるにつれて、検査に問題点があり、精神医学的診断の客観的指標を作成するという当初の目的をはたせていないことが明らかになってきた。その問題点とは、「特定の症状を持つ患者は対応する臨床尺度で高い得点をとることが多かったが、同時に他の臨床尺度でも高い得点をとることが多い」ということである。この問題をグレイアム(Graham,1997)は「臨床尺度がその尺度名が示す症状・症候群の純粋な尺度ではないのは明らかである」としたうえでその理由について、臨床尺度が相互に高い相関関係にあることを指摘した。しかし、これらの問題はMMPIの診断価値を完全に否定するものではなかった。それは、後の研究によってそれぞれの臨床尺度の程度よって起きやすい特徴が明らかにされ、新たな情報を引き出すことに成功したことにより、当初の目的とは異なった方向で役立つこととなったためである。しかし、こういった経緯により今日では臨床尺度の診断名はあまり重視されないようになっていることも事実である。また、これらの問題が重大視されない背景には精神医学的疾病分類がMMPIの開発された1940年代ほど有用視されていないということも関係している。そのため、精神医学的疾病分類が行われているという誤解を招かないようにするために、それぞれの項目を当初の臨床尺度名ではなく第1尺度、第2尺度といった風に表すことが一般的になってきている。
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