瘢痕治癒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 20:20 UTC 版)
マクロファージによる異物の除去作業が終了するころに、毛細血管の新生が起こり、線維芽細胞が出現する。線維芽細胞はコラーゲン、タンパク質、多糖類を合成し、細胞間腔に分泌を開始する。線維芽細胞によるタンパク質合成には十分な酸素と栄養素が必要で、毛細血管の新生は、線維芽細胞にそれを供給する役割を果たしている(毛細血管は、周囲の血管から発芽状に発生、創内へとループ状に発育し、網目状になる)。コラーゲン分子は凝集し、原線維となり、瘢痕組織が形成され、創の修復が進む(これらの過程がうまくゆけば、受傷後およそ2週間でタンパク質合成が終了し、組織改造の過程が開始する。コラーゲン線維の断裂と線維束化が起き、周辺の損傷を受けなかった組織の線維束と同様の外観になるように改造が進み、周辺の結合織との連続性ができてくる)。 この過程にかかわる注意点として、 コラーゲンは線維芽細胞の中にある粗面小胞体で合成されるが、水酸化されてから細胞から分泌される。もし水酸化が進まないと、線維束化されず、治癒は延滞してしまう。コラーゲン線維の水酸化には、ビタミンCが欠かせないとされる。 受傷後12〜48時間の、創に近い表皮細胞の端は、細胞が外観を失い、無定形化および膨化し、移動し、凝血内にある血清タンパク質や線維素の切れ端を貪食消化する(これは細胞分裂の準備を行っている)。そして、連続性を備えた細胞層を形成しつつ、正常な外観を取り戻してゆき、表皮再生と真皮での治癒がほぼ同時に完了する。 「創傷」も参照 「湿潤療法」も参照
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