用語の誕生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 03:56 UTC 版)
アメリカ合衆国の生態学者ユージン・F・ストーマー(英語版)が1980年代に "Anthropocene" という用語を造ったと記述されていることが多く、オランダの大気化学者パウル・クルッツェンがそれを独自に再発見して普及したとされている。 人新世が普及するきっかけは、科学者の会議だった。2000年2月23日にクエルナバカで開催された地球圏・生物圏国際協同研究計画(IGBP)の第15回科学委員会会議で、クルッツェンはプレゼンテーションを聞いていた。完新世に関する発言を聞いたクルッツェンは、完新世という語が現在を表現するには不適切ではないかと考えた。完新世は約1万1700年間にわたるが、石器時代と人類の影響が地球規模に及んだ現在では大きく違う。そこで、「完新世という言葉が用いられているが、われわれはもう人新世に入っているのではないか」という趣旨の発言をしたところ、会議は一瞬静まった後に熱心な議論が始まった。クルッツェンに対して、人新世という語の特許を取っているかとたずねる者もいた。反響の大きさに驚いたクルッツェンは、人新世という語を先に使っていたストーマーがいることを知る。クルッツェンはストーマーに連絡し、2000年5月にIGBPのニュースレターに共著論文を発表した。最初の論文は1ページだったが、2002年にクルッツェンは「人類の地質学」という論文を雑誌『ネイチャー』に発表し、アカデミックな場で次第に広まっていった。クルッツェン自身は人新世を隠喩として解釈している。
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