産後うつ病と強迫性障害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/11 15:07 UTC 版)
母親の産後うつ病においては、乳児を害しようとする侵入思考は一般的である。1999年のKatherine Wisner らによる、産後うつ病を有する65人の女性を対象とした研究によれば、彼女らに最も頻発する攻撃思考は、新生児を害しようとする行動であった。85人の子を持つ親を対象とした研究によれば、89%が侵入思考を経験しており、その内容は乳児が窒息する、事故に遭う、攻撃される、誘拐されるといったものであった。 一部の女性は、妊娠中または産後期間中に強迫性障害症状を発症することがある 。産後OCDは、主にOCDをすでに持ちえる女性に、軽度または未診断の形で生じると推測される。産後うつ病とOCDは併存しうる(しばしば同時に発症する)。医師はうつ病の症状に焦点を当てる傾向にあるが、しかし出産後の母親の57%について、産後うつ病と強迫的思考が同時発症しうると判明している。 Wisnerは産後うつ病を経験している母親の行う乳児への加害行動に、共通の強迫性があることを発見した。その思考は、乳児の画像を棺に入れる、乳児をサメに食べさせる、刺す、階段の下に投げつける、溺れさせる、燃やすなどであった。 Baerは、年間20万人の産後うつ病を患う新しい母親が、乳児に対して強迫的思考も患っていると推定しており、さらにそれについて「狂っている」と言われるのを恐れて、医師や家族と意見を分かち合うことを躊躇し、不安を抱え沈黙しているために、うつ病が悪化しうると推測している。 子どもを傷つけようとする侵入的不安は、産後の期間よりも長くなりうる。100人の大うつ病女性を対象とした研究によれば、41%が子どもを害するかもしれないとの強迫的不安を持っており、そのために子供のケアを躊躇してしまうという。うつ病ではない女性においては、そのような思考は7%であった。
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