環境ごとの注意点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/11 16:01 UTC 版)
「Singleton パターン」の記事における「環境ごとの注意点」の解説
上記のSingletonは、Javaクラスのアンロードを考慮していない。Javaでは、参照されなくなったクラスはガベージコレクションにより回収され、Java仮想マシン (JVM) からアンロードされることがありえる。クラスのアンロードにより、そのクラスのstaticフィールドもまた無効となる。つまり、staticフィールドの寿命はアプリケーションの寿命と同一ではなくなる。アンロードされたクラスは再度必要になったときにリロードされ、クラスのstaticイニシャライザも再度呼び出される。こうした一連の動作によりstaticフィールド上のインスタンスは再生成されてしまう。また、各staticフィールドはJVMごとにひとつ存在するのではなく、ロードされたクラスごとにひとつ存在するため、Singletonが破たんするケースもありえる。 AndroidのDalvik/ART環境上では、サスペンドされたアプリケーションのActivityは、メモリが足らなくなったときや長時間放置されたときなどに破棄されることがあるが、その際、Activityコンテキストに属するすべてのandroid.view.Viewが無効となり、これらは通例アプリケーション再開時に呼ばれるandroid.app.Activity.onCreate()で再初期化することになる。しかし、クラス自体がアンロードされることも起こりうる。アンロードされたクラスはアプリケーションの再開時に必要に応じてリロードされる。 Android環境下でアプリケーションの寿命と同等のstaticフィールドを使用したい場合、独自のandroid.app.Application派生クラスを定義してAndroidManifest.xmlに記述する。通常はApplicationのサブクラス化は必要なく、たいていのケースでは、(クラスの再初期化が起こりうることに注意してさえいれば)staticシングルトンで同等機能を提供できるとされている。 Androidは通例リソースに制限のあるモバイル環境であることもあいまって、オブジェクトのライフサイクルは比較的短く、アプリケーションのサスペンドによりクラスのアンロードが発生しやすくなる。そもそもAndroidの仮想マシンは正式なJava SE/Java ME仕様に則っていない。しかし、たとえ正式なJava SE/Jakarta EE(旧・Java EE)仕様に則ったデスクトップ環境やサーバ環境であっても、クラスのアンロードは起こりうる[出典無効]。 このように、SingletonパターンはJavaという言語だけで考えてはならず、実行環境によってもあり方が変わってくるので注意が必要である。Androidのようにフレームワーク内でSingletonを行いたい場合はフレームワーク提供の機構を使うことを検討しなくてはならない。Java EE 6では@Singletonアノテーションが導入されている。
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