理論水力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 04:46 UTC 版)
実際の水路には、流水と壁面との間の摩擦や曲がりの抵抗などによりエネルギーの消費(損失)がある。したがって、高さ h (m) にある質量 m (kg) の水が持つエネルギーのうち、損失分を減じたものが水車に作用する有効なエネルギーとなる。 損失を水頭によって示したものが損失水頭(そんしつすいとう)である。水頭の有効分である有効落差(ゆうこうらくさ)を H (m)、損失水頭を hl (m)、総落差(そうらくさ) Ha (m) には以下の関係がある。 H = H a − h l {\displaystyle H=H_{a}-h_{l}} 断面積 A (m²) の水管路を、流速 v [m/s] で水が流れたとき、その流量 Q [m³/s] は次式で表せる。 Q = v ⋅ A {\displaystyle {\rm {Q=v\cdot A}}} 1 (m³) で質量 1,000 (kg) の水が水車に作用する理論上のエネルギー、すなわち理論水力(りろんすいりょく) P0 は、流量 Q (m³/s) のとき、 P 0 = m g h = 1000 × Q × 9.8 × H = 9800 Q H [ J ] {\displaystyle {\rm {P_{0}=mgh=1000\times Q\times 9.8\times H=9800QH[J]}}} = 9800 Q H [ W ] {\displaystyle {\rm {=9800QH\ [W]}}} = 9.8 Q H [ k W ] {\displaystyle {\rm {=9.8QH\ [kW]}}} となる。P0 のエネルギーは水車に作用し、水車出力 Pw が取り出され、最終的には発電機出力電力 P となる。これは水車効率 ηw と、発電機効率 ηg を乗じたものである。 P = 9.8 Q H ηw ηg [kW]= 9.8 Q H η [kW] 水車効率と発電機効率の積 η を、総合効率(そうごうこうりつ)という。ηは水車発電機の種類や構造や経年によって変化するが、一般的にかなり高く、近似的に次式が成立する。 P ≒ 8.5 Q H [kW] 水力発電所の出力を表すには、一般に以下の三種類が用いられる。 最大出力(さいだいしゅつりょく) 発電所で発生できる電力の最大値。この値は、ある程度の時間連続して発生できるものでなければならない。 常時出力(じょうじしゅつりょく) (流れ込み式発電所)一年間のうち355日間以上発生することができるとされる、発電所出力の基準値。渇水期の取水量を基準として計算される。 (貯水池式発電所)一年間のうち365日間以上発生することができるとされる、発電所出力の基準値。 常時尖頭出力(じょうじせんとうしゅつりょく) 一年間のうち355日間以上で毎日、少なくとも4時間は発生することができるとされる発電所出力。
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