物質の理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/27 05:44 UTC 版)
ジャイナ教ではカルマの「汚れ」について語られる。つまり、カルマは世界全体に充満している目に見えないほど微細・微視的な粒子と考えられていることは明白である。カルマは小さいため、一つの場所、点、可能な限り最も小さい空間の範囲、に無限にカルマの粒子(つまり無限量のカルマの汚れ)が入りうる。こういったカルマの微粒子こそが霊魂に付着し、その霊魂の本来の能力に悪影響を与えるのである。この物質的なカルマは「ドラヴィア・カルマ」と呼ばれ、結果として生じて霊魂が経験する感情―喜び、苦しみ、悲しみ、憎しみなど―は「バーヴァ・カルマ」、精神的なカルマと呼ばれる。物質的なカルマと精神的なカルマの関係は原因と結果の関係である。物質的なカルマによってこの世界に存在する霊魂に気持ちや感情が生まれ、次にその感情によって精神的なカルマが生まれ、精神的カルマによって霊魂において感情が変わるのである。こうした感情はさらに、新しく物質的なカルマの流入・束縛を招く。カルマの物質は事実上意識にこの世界の物質的な環境下で活動させる作因だとジャイナ教では考えられているカルマは、霊魂のこの世界を物質的に経験したいという欲望の媒体なのである。霊魂にひきつけられると、カルマは「カールマナ・シャリーラ」(kārmaṇa śarīra)と呼ばれる相互作用的なカルマの場に保持される。カールマナ・シャリーラは霊魂から発出したものである。このようなわけで、カルマは霊魂の意識を取り巻く微細な物質なのである。こうした二つの構成要素―意識と膿んだカルマ―が相互に作用を及ぼすと、霊魂は現行の物質的な世界で知られているような生活を経験する。
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