物理学拡張派
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 06:00 UTC 版)
クオリアは現在の物理学に含まれていないから、クオリアを含んだより拡張された物理学を作ろう、という立場。世界的に有名な論者としてデイビッド・チャーマーズ、ロジャー・ペンローズが、またペンローズの流派に属する日本語圏で有名な論者として茂木健一郎がいる。この立場には二つの違った流れがある。 1. 情報に注目する立場 クオリアと物理現象の間をつなぐ項として、情報に注目している一連の研究の流れがある。ジョン・アーチボルト・ウィーラーの 「it from bit」(すべてはビットからなる)という形而上学に影響を受けて主張されたデイビッド・チャーマーズの情報の二面説(英語: dual-aspect theory of information)や、ジュリオ・トノーニの意識の情報統合理論のような数学的な構成を持った理論がある。トノーニは意識の単位はビットだと主張する。 2. 量子力学に注目する立場 詳細は「量子脳理論」を参照 クオリアと量子力学における観測問題との間に何らかの関係があるのではないか、と考える一連の研究の流れがある。しばしば量子脳理論と一括りで表現されることもあるが、そうした理論の中で最も有名なものとして、ロジャー・ペンローズとスチュワート・ハメロフの提唱する波動関数の客観収縮理論(Orch-OR Theory)がある。この理論によれば、脳内でチューブリンというタンパク質の波動関数が収縮する際に、意識体験(クオリア)が生まれる、とされる。そしてこの収縮が連続して継起することで意識の流れが生み出される、とされる。ただこれは理論物理学者が思考例として提示した仮説に過ぎないものであり、その内容はまだいたって概念的なものであって、数式や方程式の形で具体的に示されているわけではない。
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