牢屋敷炎上
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 20:03 UTC 版)
奇妙院の話を聞き終えた畔倉は、奇妙院が金に異常に執着していることを利用して脱獄計画を企てる。畔倉は、娑婆に千両を埋めてあるが牢屋にいては取りに行けない、だから奇妙院に取りに行ってほしいと持ちかける。千両のうち半分を奇妙院が受け取る約束をして奇妙院は計画を快諾するが、埋めた場所は畔倉本人にしか分からないと言う。つまり畔倉も牢屋から脱走する必要があり、奇妙院に牢屋を放火するよう唆す。明暦の大火において牢屋の囚人が一旦解放された慣例があり、それと同じように自分たちも脱走することができると畔倉は考えたのである。奇妙院は役人に罪を自白し、無事に出所することに成功した。しかし、伝馬町の周りは門番が警備しており、牢屋に放火するのは不可能であった。そこで、近くの長屋に放火し、風で伝馬町へ燃え移るようにすれば良いと考え、長屋に住まうようになる。伝馬町まで燃え移るくらい強い風が吹くのを待つこと数ヶ月経った11月中旬、ついに望んでいた強風が吹き荒れた。しかし多くの死人を出すことは避けられず、本当に火を付けるか決心がつかなかった。火をくべて温めた酒を飲んでいるうちに奇妙院は眠ってしまうが、狭い長屋で奇妙院が寝返りを打った際に火が溢れ、炎上してしまう。炎は奇妙院の服にも燃え移り、逃げ惑ううちに近所の建具屋に逃げ込み、置いてあったカンナ屑に突進する。さらに炎は燃え上がり、激怒した建具屋の主人に殺害されてしまう。炎は伝馬町へと燃え広がり、外の騒ぎを聞いた畔倉はほくそ笑むのだった。
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