燃焼器の形式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 05:46 UTC 版)
ライナなどで構成される燃焼缶の形状と配置の違いによって燃焼器には4種類の形式が存在する。 カン型 カン型燃焼器 (Can type combustion chamber) では、複数の筒状の燃焼缶が輪状に等間隔で配置され、それを包むように燃焼器ケーシング(燃焼器ケース, Combustion case)も個別に設けられる。隣接する燃焼缶同士は火炎を伝播させ圧力を平均化するためのインターコネクタと呼ばれる管でつながれていて、2ヶ所からの点火が全体に伝えられる。カン型は空間の無駄が大きく、製造が少し複雑であり、また燃焼缶ごとに燃焼が不均等になりやすく、燃焼効率も良くない。その反面、構造が強固で整備性も良い。 アニュラ型 アニュラ型燃焼器 (Annular type combustion chamber) では、燃焼器に単一のドーナツ状のライナを備えている。ライナはおおむね円筒形の内外2枚の金属板より構成され、2枚の間が燃焼領域となる。ライナを包むように、燃焼器外側ケースと燃焼器内側ケースより構成される燃焼器ケーシングが設けられる。アニュラ型はケーシングとその内面に沿った形状のライナの占有空間が、共に厚みを持った円筒形となるため、カン型のようなケーシング外に無駄な空間が存在せず、空気流路も直線的となる。同じ空気流量では燃焼器全体の直径を小さく作れて、ライナ冷却のための空気量も少なくて済むため、燃焼効率の向上と有害排気の減少に寄与するが、整備性は良くない。 カニュラ型 カニュラ型 (Can-annular type combustion chamber) は、アニュラ型の内側にカン型が置かれた構造である。ケーシングはアニュラ型と同様であるが、ライナはカン型の構成になる。 初期のジェットエンジンではカン型が、1960年代にはカニュラ型が採用されていたが、現在では一般的にアニュラ型が主流である。燃焼器をタービン部の外周に置いたリヴァースフロー型燃焼器(Reverse flow type combustion chamber) は小型ターボプロップやターボシャフトで多用され、一部の小型ターボファンにも使用されている。アニュラ型、カニュラ型、カン型のいずれにも適用可能。エンジンの小型化が最大の長所である。
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