炭素濃縮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 09:06 UTC 版)
C4植物は炭素を濃縮する機構を開発した。これはRuBisCOの周囲のCO2濃度を増大させることで、光合成を効率化し、光呼吸を抑制する。このRuBisCOの周囲のCO2を増大させるプロセスは、気体の拡散にまかせるよりもエネルギーを要するが、たとえば温度が25℃以上、CO2濃度が低く、酸素濃度が高いという条件の場合には、光呼吸による糖の損失分にペイする。 C4代謝のあるものは、Kranz構造(花冠構造、"Kranz anatomy")という構造を使う。葉の維管束の周りに二重の層があって、外層は葉肉細胞(mesophyll layer)、内層は維管束鞘細胞(bundle sheath)という。これは、外層の葉肉細胞を通して生化学的にCO2を輸送し、内層の維管束鞘細胞に渡す。この方法で、RuBisCOが働く場所(維管束鞘細胞)の近くでCO2が濃縮される。CO2の濃度が上がることによってRuBisCOの効率が増す。 C4型光合成の他に、CAM型光合成のメカニズムも進化した。これは、RuBisCOの作用と、光合成反応を、時間的に分離する。RuBisCOは日中のみ作用し、そのとき気孔は閉じていて、リンゴ酸の分解によってCO2が供給される。涼しく湿った夜間の間に気孔が開き、CO2の取り込みが行われるため、水のロスを防いでいる。
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