港湾クレーン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/22 04:02 UTC 版)
港湾の定置式クレーンは、中世に新しく登場したと考えられる。一般的な港湾クレーンは、トレッドウイールが2台設置され、本体が回転するようになっていた。港湾クレーンは岸壁のそばに設置され、シーソーやウインチ、帆桁などを使った古い方法を置き換えていった。 港湾クレーンは、地域によって形状が異なった。フラマンやオランダの沿岸では、垂直軸を回転するガントリークレーンが一般的であった。一方、ドイツの海や内陸の港では、塔に設置されたジブと屋根が回転するタワークレーンが一般的であった。地中海やイタリアの主要な港では、タラップを利用した労働集約的な荷役方法に依存し続けたため、港湾クレーンは普及しなかった。 建設現場では、石工の作業速度がクレーンよりも遅かったため、吊り上げ作業の速度は問題にならなかった。しかし、港湾クレーンでは、トレッドウイールを2台設置して、速度向上を図った。トレッドウイールは直径4メートル以上と推測され、回転軸と同時に動いた。港湾クレーンの吊り上げ能力は、船の貨物重量に対応して、2 - 3トンであった。当時の港湾クレーンは、ヨーロッパ全体で15基残っている。また、造船の際にマストを設置するためのクレーンが、グダニスクやケルン、ブレーメンなどで見られた。こうした固定式のクレーン以外にも、港内で自由に動けるクレーン船も14世紀までには使われていた。
※この「港湾クレーン」の解説は、「クレーン」の解説の一部です。
「港湾クレーン」を含む「クレーン」の記事については、「クレーン」の概要を参照ください。
- 港湾クレーンのページへのリンク