活性化と機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 16:04 UTC 版)
「シグナル伝達兼転写活性化因子5」の記事における「活性化と機能」の解説
STAT5タンパク質が機能するためには、まず活性化される必要がある。この活性化は、膜貫通受容体に結合したキナーゼによって行われる。 膜貫通受容体の細胞外側にリガンドが結合し、キナーゼが活性化される。 刺激されたキナーゼが受容体の特定のチロシン残基にリン酸基を付加する。 その後、STAT5がSH2ドメインを利用してこれらのリン酸化チロシン残基に結合する。 続いて結合したSTAT5がキナーゼによってリン酸化される。リン酸化はタンパク質のC末端の特定のチロシン残基に対して行われる。 リン酸化によってSTAT5が受容体から解離する。 リン酸化されたSTAT5は、ホモ二量体(STAT5-STAT5)または他のSTATタンパク質とのヘテロ二量体(STAT5-STATX)を形成する。この二量体化にはSH2ドメインが再び利用される。STAT5はヒストンメチルトランスフェラーゼ(英語版)EZH2と協働してホモ四量体を形成する場合もあり、転写リプレッサーとして作用する。 活性化経路は図に模式的に示されているように、関与するリガンドはサイトカインであり、活性化を行う特異的キナーゼはJAKである。二量体化したSTAT5は活性化状態であり、核へ移行する。 核内では、二量体はSTAT5応答エレメントに結合し、特定のセットの遺伝子の転写を誘導する。STAT5二量体によって発現がアップレギュレーションされる遺伝子は、次のような過程に関与している。 細胞成長、分裂、増殖の制御 プログラム細胞死、アポトーシス 細胞の特殊化、分化 炎症 活性化されたSTAT5二量体の寿命は短く、迅速な不活性化が行われる。不活性化は、PIAS(英語版)やSHP2などを介して直接的に行われる場合や、サイトカインシグナルの減少など間接的に行われる場合がある。
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