法定更新・解約の制限
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 16:46 UTC 版)
民法における原則では、契約期間が定められている場合ならば、その期間が過ぎれば契約は終了し、さらに契約を更新するかどうかは当事者次第である。また、契約期間が定められていない賃貸借契約は借主・貸主どちらからでも解約を申し入れることができ、その申入れから所定の期間を過ぎると契約は終了する(民法第617条1項)。しかしこれでは賃借人が突然家や土地を追い出されて生活の拠点を失うおそれがあるため、借地借家法には更新を容易にし、解約を制限する制度が整備されている。 すなわち、借地借家法は、期間の定めのある借地・借家契約については、直接的または間接的に契約更新を強制している。このように、当事者(特に賃貸人)の意思に関わらず法律の規定によって契約が更新されることを法定更新という。また、期間の定めのない借家契約についても、賃貸人からの解約申入れに正当事由を要求するなどして一方的に契約を終了させないようにしている。 この「正当事由制度」・「法定更新制度」は、日中戦争中の1941年3月10日の借家法改正(法律56号)に由来する。この改正の目的は、出征中に借地契約や借家契約が終了して兵士が戦地から戻ったときに住む家がなくなることで混乱が生じることを回避することにあったが、都市への人口流入による住宅事情の逼迫を背景に、両制度は戦後も存続している。
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