法則の実証的研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 09:59 UTC 版)
「利潤率の傾向的低下の法則」の記事における「法則の実証的研究」の解説
バシューとマノラコスは、利潤率低下理論に関するマルクス派内の論争は、ミクロ経済学的な詳細に対する注意の欠如によって特徴付けられていると指摘する。 J. M. ギルマンは、アメリカ合衆国の長期経済系列を用いて1849年から1939年までの91年間のフローベースの有機的構成と利潤率、1919年から1939年までの不生産的経費を控除した純利潤率(フローベースとストックベース)を試算した。その結果によると、利潤率の上下はあるが傾向的変化は見られず、有機的構成も(1849、1859年の計算値を除く)ほぼ一定であった。 フェルドシュタインとサマーズは、1948年から1976年までを公式資料によってアメリカ経済の純利益率と粗利益率とを計算した。毎年の数値としもに、景気循環調整済みの数値も掲げている。その結論として調査結果は、戦後の時期において、収益率に緩慢な低下が見られるという見解を指示するものではなかった、としている[29]。 バシューとマノラコスは、利潤率低下理論に関するマルクス派内の論争は、ミクロ経済学的な詳細に対する注意の欠如によって特徴付けられていると指摘する。彼らは、理論の簡単なサーベイのあと、§3. Literature Review などにおいて、利潤率に関する数少ない計量的文献をレビューしたあと、自分達の時系列分析を行っている。それによれば、1948-2007において景気循環調節済みで、年0.2%の利潤率の低下が観察されたという。 マルクス経済学者の中には、ここ150年間の統計から見ても、利潤率低下は実証できていないとする(また、資本主義に特有の傾向ではない、とする)説もある。 一方でマルクス経済学者ではない公共経済学のトマ・ピケティは、資本の再配分を論じる際、マルクスの利潤率低下理論について言及し再評価している。
※この「法則の実証的研究」の解説は、「利潤率の傾向的低下の法則」の解説の一部です。
「法則の実証的研究」を含む「利潤率の傾向的低下の法則」の記事については、「利潤率の傾向的低下の法則」の概要を参照ください。
- 法則の実証的研究のページへのリンク