永田竹丸とは? わかりやすく解説

永田竹丸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/22 16:06 UTC 版)

永田 竹丸
本名 永田 竹丸
(ながた みよまる)
生誕 (1934-05-11) 1934年5月11日
東京府(現:東京都
死没 (2022-10-19) 2022年10月19日(88歳没)
職業 漫画家
代表作 おにいちゃん
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永田 竹丸(ながた たけまる、本名・ ながた みよまる、男性、1934年昭和9年)5月11日[1] - 2022年10月19日[2])は、日本漫画家。多くの漫画家を住んだトキワ荘東京都豊島区)に新宿区の実家から通って他の漫画家と合作・交流した「通い組」の一人で、練馬区にも仕事場を構えていた[3]

東京府(現在の東京都)出身[1]武蔵野美術大学中退[1]。義父は漫画家の芳賀まさお。妻は芳賀の娘の元漫画家の芳賀けいこ。

人物

中学一年生の時から『漫画少年』の常連投稿者で[3]森安なおやに誘われる形で田河水泡に師事する。その後『新漫画党』にも参加した[1]

端正な画風とほのぼのとしたストーリーで、1950年代を中心に人気漫画家となった。当時、漫画で初めてスクリーントーンを導入した人物[注 1]としても知られ[4]、その後は漫画家仲間の間であっという間に浸透したという。

1960年、『ピックルくん』で第1回講談社児童まんが賞を受賞した[3][2]

1960年代中盤は、日本基督教団の冊子に、代表作となった『おにいちゃん』を長期にわたり連載する[注 2]。この時期にはTCJ(現・エイケン)やピー・プロダクションに在籍していたこともある。

1968年から約5年間は藤子スタジオに勤務し、藤子不二雄のチーフアシスタントを務めながら細々と自作の幼年向け漫画を執筆していた[5]

山根青鬼山根赤鬼とともに田河水泡の『のらくろ』の漫画執筆権を譲り受けた正統継承者である[2][1]

2022年10月19日老衰のため、死去[2][6][7][3]。88歳没。弟子のむかいさすけに頼まれて描いた、男性に花を渡す女性の色紙が遺作となったが、色塗りまでは至らなかった[3]

主な作品

  • おにいちゃん(日本キリスト教団出版局
  • 学用品とぼく(学童社『漫画少年』、1953年)[8]
  • ぴょっこりルルくん(講談社、『たのしい四年生』、1958年)[9]
  • ロボットS1号(講談社『たのしい三年生』、1958年頃)[10]
  • ロボット少年アップルくん(講談社、『たのしい三年生』、1959年)[11]
  • ピックルくん(講談社、1960年)
  • 山のたあちゃん(講談社、『たのしい三年生』、1960年 - 1961年頃)[12][13]
  • よっちゃん(講談社、『たのしい幼稚園』、1961年)[14]
  • 冒険コロボックル(講談社『テレビマガジン』、1973年)
  • ジムボタン(講談社『テレビマガジン』、1974年)
  • シンちゃん(私家版、1975年頃)[15][16]
  • キャラとメル(『東京新聞』サンデー版、1981年)[3]
  • トキワ荘青春物語(蝸牛社、B5判 1987年6月発行 / A5判 1989年5月発行 / 文庫版 1995年12月発行)
「手塚治虫&13人」名義として共著

エピソード

  • 藤子不二雄Aの『まんが道』では、実家の庭に離れ家を作ってもらい羨ましがられる、というくだりがあるが、実際には母屋の損傷が激しく、部屋のほとんどが使い物にならなかったためにやむなく離れ家を建ててもらったという。
  • 漫画にスクリーントーンを初めて使った人物ではあるが、後進の漫画家達がスクリーントーンを多用することを批判している。
  • 唐沢なをきの漫画『電脳なをさん』で『おにいちゃん』のパロディが描かれたことがある[20]

アシスタント

その他

  • 藤子・F・不二雄大全集『新オバケのQ太郎』4巻(2012年、小学館) - 解説を執筆。

登場する作品

脚注

注釈

  1. ^ 作品は『ビックルくん』[1]
  2. ^ やや特殊な誌面での連載ではあるが、宗教色は皆無の生活コメディ作品である。

出典

  1. ^ a b c d e f 吉田 2007, p. 329.
  2. ^ a b c d 漫画家の永田竹丸さん死去 「トキワ荘」通い組、「のらくろ」を継承”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社 (2022年10月28日). 2022年11月2日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 原田遼「先月死去 トキワ荘「通い組」永田竹丸さん 児童漫画一筋 貫いて/震える手で描いた色紙 遺作に」『東京新聞』中日新聞社、2022年11月8日、朝刊、24面。2022年11月25日閲覧。
  4. ^ よろず〜ニュース編集部 (2022年10月28日). “トキワ荘メンバーと交流 漫画家・永田竹丸さんが死去 スクリーントーン使用の元祖”. よろず~ニュース (株式会社デイリースポーツ). https://yorozoonews.jp/article/14754486 2022年10月29日閲覧。 
  5. ^ 藤子・F・不二雄大全集『新オバケのQ太郎』永田竹丸による解説
  6. ^ 永田竹丸先生の訃報にあたり豊島区長よりコメントを発表します”. 豊島区公式ホームページ. 豊島区 (2022年10月27日). 2022年10月27日閲覧。
  7. ^ 漫画家の永田竹丸氏死去 トキワ荘の作家と交流”. 産経ニュース . 産経新聞社 (2022年10月27日). 2022年10月28日閲覧。
  8. ^ 幻の漫画少年 全リスト / まんだらけ”. www.mandarake.co.jp. 2024年5月9日閲覧。
  9. ^ くだん書房:目録:マンガ:雑誌:講談社”. www.kudan.jp. 2024年5月9日閲覧。
  10. ^ たのしい三年生 2(2) 国立国会図書館サーチR100000039-I1791462. 2023年10月27日閲覧。
  11. ^ 東京都古書籍商業協同組合『ロボット少年 アップルくん(永田竹丸) / ロビン=フッドとすいか(たかおのりゆき) たのしい三年生七月号付録 / 古本、中古本、古書籍の通販は「日本の古本屋」https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=94478692 
  12. ^ 東京都古書籍商業協同組合『山のたあちゃん たのしい三年生第巻第1号4月号付録(永田竹丸) / 萩書房Ⅱ / 古本、中古本、古書籍の通販は「日本の古本屋」https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=409084385 
  13. ^ たのしい幼稚園 17(4) | NDLサーチ | 国立国会図書館”. 国立国会図書館サーチ(NDLサーチ). 2024年5月9日閲覧。
  14. ^ くだん書房:目録:マンガ:雑誌:講談社”. www.kudan.jp. 2024年5月9日閲覧。
  15. ^ 東京都古書籍商業協同組合『シンちゃん 1,2 の2冊(永田竹丸) / 古本、中古本、古書籍の通販は「日本の古本屋」https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=500035929 
  16. ^ 東京都古書籍商業協同組合『シンちゃん1、2 + シンセツくん 計3冊セット(永田竹丸) / 古本、中古本、古書籍の通販は「日本の古本屋」https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=429201138 
  17. ^ 東京都古書籍商業協同組合『おっとおヨメちゃん(永田竹丸) / りんてん舎 / 古本、中古本、古書籍の通販は「日本の古本屋」https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=429225263 
  18. ^ Facebook”. www.facebook.com. 2024年5月7日閲覧。
  19. ^ C00165744/ソノシートブック4枚組/藤子不二雄(表...”. Yahoo!オークション. 2024年4月28日閲覧。[リンク切れ]
  20. ^ 永田竹丸先生の長期連載「おにいちゃん」を昔『電脳なをさん』でパロディしたんですがあまりと言えばあんまり罰当たりな出来で、さっき見返したらスクラップしたファイルを持つ手が震えました。部分だけ紹介します。ごめんなさいごめんなさい。”. ツイマンガ運営事務局. 2024年5月7日閲覧。

参考文献

  • 吉田忠「ヨシダ忠・ロングインタビュー&作品リスト」『藤子不二雄物語 ハムサラダくん 〜完全版〜 上』インタビュー&構成:藤子不二雄ファンサークル「ネオ・ユートピア」(蝶野光秋&目黒広志)、マガジン・ファイブ〈レジェンドコミックス 14 ポケットレジェンドコミックス〉、2007年1月25日、324-329頁。 ISBN 978-4-4341-0214-1 初出:藤子不二雄ファンサークルマガジン『ネオ・ユートピア』(2002年)




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