民間原子力船の試みと挫折
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/22 16:50 UTC 版)
「みらい (海洋地球研究船)」の記事における「民間原子力船の試みと挫折」の解説
1950年代後半、欧米では民間用原子力船の建造が試みられており、「サヴァンナ」などが建造された。これを受けて、日本の原子力委員会でも、原子力船専門部会の検討を経て、1963年より総トン数6,000トンの海洋観測船の建造に着手した。しかし、この基本設計では見積もり金額が予定額に見合わず、入札に応じる企業がなかったことから、貨物倉の拡大・海洋観測設備の廃止などの改設計が行われ、総トン数8,000トンの特殊貨物船に変更された。これによって建造されたのが「むつ」であり、世界で4番目の民間用原子力船として1969年6月12日に進水した。 しかし試験運転中に放射線漏れを生じたことから、母港であった大湊港(青森県)への帰港反対運動が起きるなど、逆風が強くなっていた。また先行する他国の原子力船と同様、当初の想定よりも点検費用などの運用コストが嵩むことが判明したこともあって、1991年2月14日に竣工はしたものの、政府としては既に解役の方針を固めていた。「むつ」は1992年1月に原子炉を停止、6月からは解役工事が始まった。
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