民間への普及と功徳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 08:41 UTC 版)
『理趣経』は本文中で読誦の功徳(ご利益)を明確に謳っている珍しい教典である。 功徳の最たるものは悟りへの道筋が開けることであるが、もっと卑俗な所で、病気よけや収入増加の利益があるとして民間で尊ばれてきた。ただし、上記のような禁忌があるため、戦前までは在家が経文の内容を理解することは厳しく戒められ、法事の時に和尚の読経に檀家が唱和することも禁じられていた。漢音で読むのも内容を在家に分からせないためだといわれていたという。戦後は一般向け解説書も出版され、朝の読経や法事でよく読誦されている。 また、真言宗をはじめ天台宗や曹洞宗等でも、「大般若転読加持法」あるいは「大般若経転読会」として、『理趣経』の先行経典である大般若『理趣分経』が読誦されている。民間ではこの読経の時の風にあたると、風邪を引かないとして信仰されている。 ちなみに、天台座主の山田恵諦は、比叡山で修行する小僧達に、「君たちはおこづかいがもらえるかね?おこづかいが欲しいと思ったら、『理趣分経』を1000回読みなさい」と薦めていた。なお、『理趣分経』は前述のとおり、『理趣経』の異本。
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