毒性と薬効
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 07:37 UTC 版)
ジギタリスは全草に毒を有するため、観賞用に栽培する際には取り扱いに注意が必要である。ジギタリス中毒とも呼ばれる副作用として、不整脈や動悸などの循環器症状、嘔気・嘔吐などの消化器症状、頭痛・眩暈などの神経症状、視野が黄色く映る症状(黄視症)などが挙げられる。 その機序は、細胞膜にあるNa+ K+ ATPaseを阻害して、細胞内のNa+およびCa2+濃度を上昇させ、心筋の収縮性を亢進させる事である。 ジギタリスの葉を温風乾燥した物を原料としてジギトキシン、ジゴキシン、ラナトシドCなどの強心配糖体を抽出していたが、今日では化学的に合成される。古代から切り傷や打ち身に対して薬として使われていた。1776年に、英国のウィリアム・ウィザリングが強心剤としての薬効を発表した。それ以来、鬱血性心不全の特効薬としても使用されている。以前は日本薬局方にDigitalis purpurea を基原とする生薬が「ジギタリス」「ジギタリス末」として医薬品各条に収載されていたが、いずれも第14改正日本薬局方第2追補(2005年1月)で削除された。 ゴッホが「ひまわり (絵画)」などで鮮やかな黄色を表現したのは、ジギタリスの服用による副作用の黄視症だったのではないかという説もある。なお、ゴッホの晩年の作品「医師ガシェの肖像」には、ジギタリスが描かれている。
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