正教会聖歌・音楽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/04 01:56 UTC 版)
セルビアのキリスト教音楽は正教会の聖歌として発展した。正教会の聖歌は無伴奏声楽(ア・カペラ)が原則であり、セルビア正教会の聖歌もまた無伴奏声楽によって歌われる。 セルビアの正教会は伝道された当初から近現代に至るまで、かつては東ローマ帝国で発展し、現代ではギリシャ正教会などで歌われる、ビザンティン聖歌の伝統を継承してきた。歌唱・奉神礼にあたっての言語にはギリシャ語ではなくセルビア語と教会スラヴ語が用いられる。 ただし、近現代に入り、西欧音楽文化の流入によって正教会聖歌にも西欧風のポリフォニーが導入されていった。近現代に西欧ポリフォニー風の正教会聖歌を作曲した作曲家として、コルネリイェ・スタンコヴィッチ、ステヴァン・モクラニャツ、ヨシフ・マリンコヴィッチ、ステヴァン・フリスティッチなどがいる。スタンコヴィッチ、モクラニャツ、マリンコヴィッチは聖金口イオアン聖体礼儀の全曲を、モクラニャツ、フリスティッチはパニヒダの全曲を作曲するなど、近現代セルビア正教会における作曲家達による聖歌作品の数・量は少なくない。 また、奉神礼に用いられる聖歌ではないが、正教会の伝統に題材をとったオラトリオとして、フリスティッチによる『ハリストスの復活』(1912年)がある。 これらの作品群は東欧各地において宗教を弾圧した共産主義政権が崩壊して以降、演奏が活発に行われるようになっており、セルビア以外の正教国(ブルガリア、ロシアなど)で演奏される機会も少なくない。 現代のセルビア正教会では、伝統的なビザンティン聖歌と、西欧的なポリフォニーを用いた聖歌が、適宜併用されている。
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