きょく‐いどう【極移動】
極移動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/22 00:16 UTC 版)
極移動(きょくいどう、英: polar wandering)は、地質学的時間スケールで、固体地球またはその一部に対し磁極(磁北極・磁南極)が移動すること。
古地磁気学により、火成岩生成時の偏角と伏角を得ることができる。大雑把に言えば、偏角は極の方向を表し、伏角は緯度で決まる、つまり極からの距離で決まるため、当時の極の位置を知ることができる。こうして得られるのは厳密には極ではなく磁極の位置だが、数千年以上の時間スケールにわたる複数のサンプルを平均化すれば、磁極の分布の中心は極とほぼ一致する。また、古地磁気学より精度は劣るが、古気候学でも過去の緯度を(低緯度か高緯度かくらいだが)推察できる。
実際には極が動かなくても、大陸が移動すると、大陸から見た極の位置は変化する。大陸移動説以前は、これは実際に極が移動したと解釈されていた。その名残で、これを見かけの極移動 (apparent polar wandering = APW) と呼ぶ。なお、こうして復元された極移動が大陸により(具体的にはヨーロッパと北米で)違い、その違いが過去にさかのぼるほど広がっていることが、大陸移動説の証拠の1つとなった。
大陸移動を補正すると、地殻全体に対する極の移動が残る。これを真の極移動 (true polar wandering = TPW) という。大陸移動、氷床の盛衰、大規模な火山活動、大規模な天体衝突、地球内部の質量分布の再編などにより、固体地球の質量分布が変化し、慣性能率テンソルが変化すると、真の極移動が起こる。モデル計算やシミュレーションによれば、極は質量分布の変化に対し比例的に移動するとは限らず、ある限界を超えた時に突然極移動を起こすことがある。これは、それまでの極に対応する赤道が遠心力で膨らんでおり、ある程度の変化に対しては極を安定させる効果があるからである。
関連項目
極移動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 07:11 UTC 版)
大陸が移動するだけでなく、地球の極もその絶対位置が移動することをヴェーゲナーは詳細に述べている。白亜紀以来の南極点の移動を、彼の師であるウラジミール・ペーター・ケッペンとともに化石の調査から割り出しており、南アメリカを基準とした極移動とアフリカを基準とした極移動を図で示した。そしてその移動のずれを大陸移動によるずれとみなした。 この極移動は、その後1950年代に、古地磁気の測定からインドの北上を指摘したパトリック・ブラケットのもとで学んだケイス・ランコーン(英語版)、エドワード・A・アーヴィング(英語版)らによる岩石の残留磁気の詳細な調査により、北米大陸とヨーロッパ大陸のそれぞれの磁北極移動軌跡が描かれ、それらが系統的にずれていることが確認されている。これはその後、大陸移動の独立の証明とみなされた。
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