極小モデルと特異点の解消
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 09:06 UTC 版)
「双有理幾何学」の記事における「極小モデルと特異点の解消」の解説
全ての代数多様体は射影多様体に双有理であるので、双有理分類の目的のためには、射影多様体のみに専念すれば良く、このことは普通は最も便利な設定である。 広中平祐の1964年の特異点解消定理は非常に深く、(複素数のような)標数が 0 の体の上の全ての多様体は、滑らかな射影多様体に双有理的である。このことが与えられると、滑らかな射影多様体を双有理同値を除外して分類することに集中することができる。 次元 1 では、2つの滑らかな射影曲線が双有理であれば、それらは同型である。しかし少なくとも次元が 2 でこのことはブローアップ(en:blowing up)の構成により成立しない。ブローアップにより、少なくとも次元 2 の全ての滑らかな射影多様体は、例えば、より大きなベッチ数を持つ、無限に多くの「より大きな」多様体に双有理同値である。 このことは、極小モデルの考え方を導く。各々の双有理同値類の中に一意に最も小さい代数多様体を見つけることは可能か?現代の定義は、射影的多様体 X が極小とは、標準ラインバンドル KX が X のすべての曲線で非負な次数を持つことである。言い換えると、KX はネフ(数値的正という意味だが、通常使用しているので、本文ではネフという用語を使用する。)である。ブローアップした多様体が決して極小ではありえないことは、容易にチェックできる。 この考え方は、代数曲線(次元が 2 の多様体)に対しては完全に成り立つ。現代のことばでは、1890年から1910年までの代数幾何学のイタリア学派(英語版)の一つの中心的な結果は、曲面の分類の一部とあわせ、すべての曲面 X は、ある曲線 C が存在して積 P1 × C か、もしくは極小曲面 Y のどちらかに双有理同値である。 2つの場合は互いに排他的であり、Y は存在するとしたら一意である。Y が存在すると、X の極小モデルと呼ばれる。
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