椛のシデコブシ自生地とは? わかりやすく解説

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椛のシデコブシ自生地

名称: 椛のシデコブシ自生地
ふりがな なぐさのしでこぶしじせいち
種別 天然記念物
種別2:
都道府県 愛知県
市区町村 田原市
管理団体
指定年月日 1970.06.19(昭和45.06.19)
指定基準 11
特別指定年月日
追加指定年月日
解説文: S45-5-137[[椛]なぐさ]のシデコブシ自生地.txt: 渥美半島先端に近い山間部の椛という地区で、山裾水田との中間の湿地帯にある。地床にはミズゴケ繁茂し、ハンノキ・アセビ・ノリウツギ・イヌツゲ・ウバメガシ・カクレミノなどの混生する低木林中にシデコブシ点々自生している。シデコブシは、モクレン科属し、[[幣]しで]の形に似た花弁美しさのため、古くから園芸的に愛賞され各地栽植されている日本特産花木である。その自然分布範囲はせまく、愛知岐阜両県の、主として木曽川以南地方に、まれに自生するにすぎない
 本自生地は、あまり広大ではないが、他の自生地比べれば広くまとまりもよく、保存状態自然環境良好であって、本種の自生地として代表的なところである。いちじるし栽培植物自生地としてその価値認められた。

椛のシデコブシ自生地

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/21 09:30 UTC 版)

椛のシデコブシ自生地
所在地 愛知県田原市伊川津町椛1-1[1]
樹種 シデコブシ (Magnolia stellata)
評価 国指定天然記念物(1970年6月19日)
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椛のシデコブシ自生地(なぐさのシデコブシじせいち)は、愛知県田原市伊川津町椛(なぐさ)にあるシデコブシ自生地。国指定天然記念物(1970年6月19日指定)[2][1]

特色

立地

温暖な気候の渥美半島
椛のシデコ
ブシ自生地
椛のシデコブシ自生地の位置

太平洋に面する渥美半島の先端に近い山間部、標高320メートルの大山と標高233メートルの雨乞山の間、山裾と水田の中間に位置する湿地にある[2]。椛湿地とも呼ばれる湿地内に約200株のシデコブシが自生している[3][4]。自生地自体はそれほど広くないが、他の自生地に比べれば広くてまとまりもよく、保存状態や自然環境が良好であるとされる[5][2]。雨乞山の登山道には椛のシデコブシ自生地を通るルートがある[6]

シデコブシはモクレン科に属する常緑または落葉性の小喬木である[1]。日本の固有種であり、愛知県岐阜県東濃地方の木曽川以南の限られた範囲に自生している[5][7]。シデコブシ同様に伊勢湾周辺のみに分布する植物は周伊勢湾要素植物群と呼ばれる[8]。山地または丘陵地の沢沿いにある、日の当たる湿地を好む種であるとされる[1]

椛のシデコブシ自生地周辺は温暖な気候であり、周辺の低木林にはシデコブシのほかにハンノキアセビノリウツギイヌツゲウバメガシカクレミノなどが混生している[5][2]。周囲にはヒトツバコバノミツバツツジコクランなどの自生地もある[9]

特色

椛のシデコブシ自生地

樹高は2メートルから3メートル、胸高周囲は10センチ内外である[1]。葉の長さは5センチメートルから8センチメートルであり、葉に先立って開花する花は白色または薄紅色である[7]。花径は10センチメートル弱であり、長さ4センチメートルの花被片が12枚から18枚付く[7]。開花時期は3月下旬から4月上旬頃であり[3]、愛知県内陸部よりは多少早め、岐阜県東濃地方よりは1週間から2週間ほど早いとされる[10]

歴史

1957年(昭和32年)に植物学者の本田正次が『植物文化財 天然記念物・植物』を編纂した時点で、モクレン科の国指定天然記念物には「オオヤマレンゲ自生地」(奈良県吉野郡天川村大塔村)、「小長井のオガタマノキ」(長崎県北高来郡小長井町)、「永利のオガタマノキ」(鹿児島県川内市)の3件があった[11]

1970年(昭和45年)6月19日、椛のシデコブシ自生地が国指定天然記念物に指定された[2]。シデコブシとしては全国初の国指定天然記念物である。

2005年(平成17年)10月には椛のシデコブシ自生地を含む「シデコブシ群落」が「渥美半島キラリ百選」に選定され、特に素晴らしい名所とする優秀賞にも選定された[12][13]

周辺地域のシデコブシ自生地

「伊川津のシデコブシ自生地」(愛知県田原市、県指定天然記念物)

田原市には国または県または市が天然記念物に指定したシデコブシの群落が4か所あり[4]、これほど多いのは全国的に見て珍しいとされる[14]。天然記念物に指定された区域以外では、衣笠山の南西斜面、野田町平沢の平沢池、赤羽根町大石、渥美地域の高木町などにもシデコブシの自生地がある[10]

田原市におけるシデコブシの自生地
評価 名称 所在地 指定日
国指定
天然記念物
「椛のシデコブシ自生地」 愛知県田原市伊川津町 1970年6月19日
県指定
天然記念物
「伊川津のシデコブシ」 愛知県田原市伊川津町椛 1967年10月30日
県指定
天然記念物
「黒河湿地植物群落」 愛知県田原市大久保町黒河 1971年2月8日
市指定
天然記念物
「藤七原湿地植物群落」 愛知県田原市田原町衣笠 1991年2月22日

伊川津のシデコブシ(県指定)

1967年(昭和42年)10月30日、椛のシデコブシ自生地の約500メートル東にある「伊川津のシデコブシ」が愛知県天然記念物に指定された[15]。伊川津のシデコブシの指定地の湿地には約70株のシデコブシが自生しており、その他にヤマドリゼンマイヘビノボラズムカゴニンジンヤマイヌワラビなどが混生している[15]。伊川津のシデコブシは農道沿いにあり、案内板や説明看板が整備されている[16]

黒河湿地植物群落(県指定)

1971年(昭和46年)2月8日、シデコブシなどが自生する田原市の「黒河湿地植物群落」が愛知県天然記念物に指定された[17]

藤七原湿地植物群落(市指定)

1991年(平成3年)2月22日、シデコブシなどが自生する田原市田原町の「藤七原湿地植物群落」が田原市天然記念物に指定された。藤七原湿地は衣笠山の東麓、標高50メートルから70メートルの傾斜地にある[10]。藤七原湿地には約300株のシデコブシが自生し、田原市において最も大きな群落を形成している[14]。幼木を含めると約1500株とされることもある[10]

その他の自生地

椛のシデコブシ自生地以外では、三重県三重郡菰野町の「田光のシデコブシ群落」も国指定天然記念物に指定されている。

交通アクセス

公共交通機関
  • 豊鉄バス伊良湖本線「石神」バス停から徒歩35分[16]
  • 伊川津集落から椛のシデコブシ自生地までは約2.8キロメートルの距離がある。

脚注

  1. ^ a b c d e 渥美町町史編さん委員会『渥美町史 現代編』渥美町、2005年、pp.768-769
  2. ^ a b c d e 椛のシデコブシ自生地 文化遺産オンライン
  3. ^ a b 椛湿地 渥美半島観光ビューロー
  4. ^ a b 「田原・伊川津町椛 シデコブシが見頃」『中日新聞』2018年3月28日
  5. ^ a b c 文化庁文化財保護部『天然記念物事典』第一法規出版、1971年、pp.140-141
  6. ^ 日本山岳会東海支部『改訂版 愛知県の山』山と溪谷社、2010年、pp.90-91
  7. ^ a b c 椛のシデコブシ自生地 文化財ナビあいち
  8. ^ 池田芳雄、桑山重朗『東海の天然記念物』東海財団、1994年、pp.26-27
  9. ^ 『広報たはら』田原市、2008年12月15日号
  10. ^ a b c d 稲垣克巳『守ろうシデコブシ 東海・長野の花を訪ねて』中日新聞社、2002年、pp.76-78
  11. ^ 本田正次『植物文化財 天然記念物・植物』本田正次教授還暦記念会、1957年、pp.184-185
  12. ^ 「渥美半島キラリ100選まとまる」『東日新聞』2005年10月3日
  13. ^ 「西ノ浜海岸など選ぶ 新田原市 渥美半島キラリ百選 ルート化し誘客へ」『中日新聞』2005年10月5日
  14. ^ a b かれんなシデコブシの花が見ごろ 愛知・田原の藤七原湿地で」『朝日新聞』2023年3月21日
  15. ^ a b 渥美町町史編さん委員会『渥美町史 現代編』渥美町、2005年、p.772
  16. ^ a b c 岡田文士、志賀靖二、白井伸昻『東海の天然記念物』風媒社、2000年、pp.90-91
  17. ^ 黒河湿地植物群落 愛知県

参考文献

  • 渥美町町史編さん委員会『渥美町史 現代編』渥美町、2005年
  • 沼田真(編)『日本の天然記念物 5 植物 3』講談社、1984年
  • 文化庁文化財保護部『天然記念物事典』第一法規出版、1971年
  • 本田正次『植物文化財 天然記念物・植物』本田正次教授還暦記念会、1957年

関連項目

外部リンク

座標: 北緯34度37分12.5秒 東経137度08分38.5秒 / 北緯34.620139度 東経137.144028度 / 34.620139; 137.144028 (椛のシデコブシ自生地)



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