棚田の営農特性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 09:02 UTC 版)
平野の圃場大型化整備の際に行われた田圃の所有権の整理が棚田ではされていないため、外部の者にとって一体的な風景に見える棚田の所有権はかなり複雑に入り組んでおり、1世帯あたりの耕作面積も少ない。そのため、農業機械の導入には経済的負担が大きく、兼業化しないと農業を続けられないことも多い。兼業には「世帯主」の兼業と「世帯」の兼業があるが、世帯の兼業では農業ノウハウを持った世帯主が農業に従事し、それ以外の子や孫が他業種で収入を得る。世帯の兼業では子や孫に農業ノウハウが受け継がれないので、営農者の世代交代が進まず、営農の主体が高齢化し、最終的に営農放棄となる。世帯主の兼業では、兼業しながらの営農法や家計ノウハウが受け継がれるため、営農放棄に至る確率は比較的低い。 棚田は1つの田当たりの耕作面積が小さく、「大型」農業機械の導入が困難である。しかし、棚田まで、あるいは棚田間に舗装された道路を通すことで、「小型」農業機械の導入は可能である。一般的に、1つの集落では同時期に同じ農作業が重なってしまうため、効率の悪い「小型」の方が集落全体での共有化が難しい。しかし、棚田は山の上と下で農作業時期が微妙に違うため、平地の集落に比べて農業機械の共有化がし易い。今まで農協(金融部門)は、貸付残高を増やすために戸別の農業機械導入を進めていたが、貸付リスクの少ない共有化に貸付の方向を変えており、棚田の農業システムに変化が起きている。
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