株式会社との異同
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/13 14:28 UTC 版)
「ジョイント・ストック・カンパニー」の記事における「株式会社との異同」の解説
イギリスのジョイント・ストック・カンパニーは、登記されると株式会社(company limited by shares)と同一の企業形態とされるのに対し、アメリカのジョイント・ストック・カンパニーは、株式会社(stock corporation)とは全く別個の企業形態である。株式会社と違って株主は無限責任を負っており、州の成文法に基づき設立された場合を除いて法人格も有していない。 株式会社との類似点としては、次の諸点が挙げられる。 その資本が譲渡可能な株式の形で出資者に所有される 構成員の死亡等によって影響されない恒久的な組織である 所有と経営が分離しており、経営は取締役会により行われ、株主は代表権を有しないまた、多くの税法において、ジョイント・ストック・カンパニーは「事実上の株式会社」とみなされ、株式会社と同様に課税される。 その他、各州の成文法に基づき設立されたジョイント・ストック・カンパニーでは、登記、手数料、年次報告書の提出等の諸手続において株式会社と同様の手続きが要求され、訴訟手続の当事者となることも可能である。 他方、株式会社との差異としては、次のような点がある。 株主が会社の債務に対して個人的に責任を有する(無限責任) 法人格を有していないため、訴訟当事者となれず、会社名で不動産を所有することもできない パートナーシップの一般法則が構成員間の関係を支配する 取締役会に自己永続性がある 政府による統制(設立手続や監督等)から比較的自由である ジョイント・ストック・カンパニーは、元々コモン・ロー上認められた形態であるが、現在では各州の成文法により規制されることも多い。したがって、慣習法上の会社と成文法上の会社では区別して考える必要があるが、株主の無限責任は、各州の規制法において共通の特徴である。 株主の無限責任は、株式会社と比べた場合の最大の短所であり、ジョイント・ストック・カンパニーが発展しなかった主たる原因であるとされる。定款において株主の有限責任を定めることも可能であるが、これは外部当事者に通告しなければならず、通告されなければ株主は保護されない。 また、成文法に基づき設立された場合を除き、法人格を有していない。裁判所は、ジョイント・ストック・カンパニーをパートナーシップとして扱うため、訴訟当事者となれないため、多くの州においては、構成員(株主)の名にで訴訟を追行することになる。 ジョイント・ストック・カンパニーは、株式会社とパートナーシップの中間的な企業形態である。株式会社との相違点、すなわち、構成員が無限責任を負うことや、設立に際して登記を要求されない(成文法に基づく場合を除く)ことなどは、パートナーシップとの類似点でもある。
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